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腹黒に挟まれた常識人

なんか、アルレスが気の毒になって来た。

「ミルフィリアには前回の事を話していませんので」


そう前置きをしながら、一通の手紙をトーラス侯爵がゼウリスに差し出した。


「アルレス殿下の記憶を参考にし、前回の加害者を割り出した所、アドンとノドス、そしてバーニスの名前が浮上しました」

「名前は同じだが、立場が違う。宰相の息子であったアドンの父親は宰相の補佐官室の下働きだし、ノドスは騎士団を追い出され学園の小間使いで、バーニスはどっかの男爵家の婿養子候補だ」


トーラス侯爵が名前を言い、アルレスが現在の立場を教えると、ゼウリスがクスッと笑った。


「当然さ。ミルフィリアに害をなした奴らに同じ栄華を享受させるつもりは無かったから、ね」

「やはり、ゼウリス殿下でしたか」


納得したのか、トーラス侯爵が頷き、アルレスはちょっと怯えていた。


「俺、しみじみ兄上を敵にしなくって良かった、と思いました」


ゼウリスはアルレスからミルフィリアを断罪したもの達の名前と役職を聞いた時から、そいつらを前の時と同じ立場にする事を妨害していた。


「ポセイダス叔父上が楽しそうに手を貸してくれてたから、案外簡単だったよ」


ポセイダス王弟殿下は実に楽しそうだった、とゼウリスが笑う。

実際、そいつらの実力や親達の実力は高位高官に相応しいものでは無かったから、閑職に追いやっても何の問題もなかった。


「宰相になる予定だった彼奴は、部下の手柄を横取りするのが得意だったが、ポセイダス叔父上が追い詰めるとボロを出してたな」

「護衛官になる予定だった彼奴は、オスカーも手伝いましたが、実際はポセイダス王弟殿下の独壇場だったと聞いてます」

「そしてトーラス家の養子になる予定だったバーニスは、トーラス家が引き取らなかった」

「我が家にはアドニスと言う、嫡男が居りますから」


ゼウリスとトーラス侯爵が笑いながら話す内容にアルレスの顔が引き攣った。


「敵にしなくって良かった」


アルレスの呟きに2人は、クスッと笑った。


「今の話を聞いて、ちょっと試したい事がありますが、皆様、手伝っていただけます?」


アリアンナもクスクス笑いながら、ある提案を口にした。

話を聞き終えると、男性陣が顔色を悪くしながら頷く。


「1番敵にしたら不味いのは、聖女アリアンナ様かもな」


ゼウリスがアルレスに囁くと、男性陣は何度も頷いた。

アルレス君に胃薬渡そうかな?

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