心強い友人達
ユーリアとテーミスが物凄く怒ってます。
赤い髪に深紅の瞳のアルレスは、王族で強い魔力を持って、美形だから同級生や下級生に人気だ。
身分だけで無く、本気でアルレスに恋をしている令嬢も多いから、人の恋路を邪魔する気はないが、言い掛かりを付けた相手が悪過ぎる。
「その一年生、社交界の事をまるで知らない様ですわ。ミルフィリア様は次期王太子となられる、ゼウリス第一王子殿下の最愛の婚約者様ですのに」
ユーリアの言葉に、ミルフィリアの頬がポッと紅くなる。
第二王子のアルレスは、1つ上の学年だが、今のミルフィリアとは接点がほとんどない。
かわりに、3つ歳上のゼウリスと共に学園に通うことはできなかったが、ミルフィリアとゼウリスは今年入学したテーミスも交え、よくお茶会をしている。
「お義姉様」
淡い金髪に黄緑色の瞳をした愛らしいテーミスも何故か慌てて走って来た。
「テーミス様。何かありましたか?」
「お義姉様が変な女に絡まれた、と聞いたので。何処です?その無礼な女は?」
可愛らしい容姿とは裏腹に、性格はかなり強気だ。
「あの方ねぇ……。分かってる筈だ、とか言ってお名前も名乗らなかったの」
ミルフィリアが困惑した顔で首を傾げた。
「名乗らなかったのですか!なんて無作法な」
テーミスが激怒しているが、ユーリアは冷静に周りに視線を向けると、小さく頷いた。
「分かりましたわ。その女、エリス・ガストン男爵令嬢のようです」
ユーリアに2人が驚いたように顔を向けると、周りの学生達が頭を下げた。
ユーリアの情報網は恐ろしく広いようだ。
「知らない方です。お茶会でもお会いした事はありませんね」
ミルフィリアやテーミスは様々なお茶会に出席している為、同年代の貴族令嬢の顔と名前はほぼ把握している。
「ですが、危なそうな方なので、近づかないようにしますわ」
ミルフィリアの言葉にユーリアとテーミスは、もの凄い勢いで首を縦に振った。
次回は、アルレスのターンにするつもり。