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凸凹フレンズ

作者: MOZUKU

小生の名前は軽井沢(かるいざわ) 翔子(しょうこ)。身長175センチの巨女ではあるのだけど運動は全くダメ子ちゃんで、髪型オカッパ、目は三白眼、おまけに顔にはソバカスてんこ盛りの地味な女子高生である。

そんな小生には友と呼べる女子がいる。名前は白金(しろがね) 三奈(みな)と言って、同級生の女の子である。身長は140センチ程しか無く、髪型はツインテールで童顔の可愛らしい顔も相まって、小学生にしか見えない。

そんな我々のことを人は『凸凹フレンズ』と呼ぶ。名前的には昔にやっていた教育テレビのアニメにもろ被りだが、勝手に人が呼んでいるだけなのだから小生達に罪は無い。

小生達は元々友達の居ないボッチ同士であったのだが、高校入学の時に出会い意気投合。おかげ様で寂しい高校生活を送らずに済んでいる。

済んでいるのだけど不満が無いわけでは無い。それは三奈ちゃんがあまりにも無表情という点である。小生が笑っている時も三奈ちゃんは無表情だし、ほとんど一方的に小生が喋ってるだけで、三奈ちゃんは「うん」とか「そだね」とか言うばかりで、酷い時には相槌のみの時もある。それが小生を不安にさせるのだ、もしかして小生のみが彼女のことを友達と思っているだけで、彼女からしてみれば小生など小煩い蝿にしか思われて無い可能性もある。

もしそうならば、小生のガラスのハートはブロークン。粉々に砕けて再起不能。最悪引きこもりになってしまうであろう。しかし、これは早急に確かめないといけない事柄である。

意を決した小生は勝負に出ることにした。それはポケットから白い粉をちらつかせて、あたかも小生がやっちゃってる人を装うという作戦である。言っておくが、白い粉といっても、この間小生が風邪を引いたときの粉薬の残りである。法はおかしていないので安心なされよ。

要は白い粉をちらつかせて見て、三奈ちゃんが小生の心配をするか否か、それを知りたいわけである。少々過激になるが、小生の心の安寧の為に致し方なし。

思い立ったらすぐ行動。小生は学校の朝の挨拶がてらに三奈ちゃんに近づいた。

「おはよう、三奈ちゃん。」

「・・・おはよ。」

相変わらずの無表情かつ淡白な返し、しかしこれならどうだ。

「あのさ、三奈ちゃん。お金貸してくれない?買いたいものがあってさ。」

「ん?何買いたいの?」

食いついてきた、食いついてきた。ここで小生は学生服のポケットから白い粉をちらつかせて、こう言った。

「はぁ・・・はぁ・・・実はこの薬がもう無くてぇ、これが無いと小生は生きていけないの・・・エヘヘ♪」

我ながら迫真の演技これならば、三奈ちゃんも騙せるは・・・。

「このバカタレ!!!!!!」

"ゴッ!!"

何があったか説明すると、三奈ちゃんは助走もなく高々と飛び上がり、怒号と共に私の顔面に右のストレートを一発見舞ってきたのである。

「あぐぅ・・・」

あまりの痛さから仰向けに倒れる小生、その倒れた小生にすかさずマウントで乗ってくる三奈ちゃん。そうなると彼女の両拳の嵐が吹き荒れた。

「バカタレ!!バカタレ!!大事な人生を棒に振りやがって!!今すぐ警察に行くよ!!!このバカタレ!!!!」

"ゴッ!!ゴッ!!ゴッ!!・・・"

普段の態度からは思いもしない、三奈ちゃんの激昂。薄れ行く意識の中で小生は涙を流す三奈ちゃんの姿を見た。


結局小生のしたことは嘘だとすぐにバレ、小生が鼻血出ちゃったしアチコチ痛い、口の中も切れた・・・って感じになるだけで済んだ。

嘘だとバレた後も、目を赤く腫らした三奈ちゃんの怒りは収まることはなく。

「もう知らない、1日口聞いてやらない。」

という温情溢れる罰で小生は助かった。

今回小生が試したことは、お世辞にも誉められた行為では無かったが、大事な友達が、小生のことを大事に思っていることを知り、胸がジーンとなる一件であった。



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