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冷静さは必須

 

「うああああああああああ!!」


 俺は気が狂ったように目の前の土砂に詰め寄りそして土砂を掘り始めた。


 何度も何度も土砂に手を突っ込んで、何度も何度も後ろに土砂を放って、それを繰り返す。


 だけどいくら掘っても掘っても土砂が減る様子はない。


 それでも俺はやめられなかった。


 無駄なことだと知りながらも、やめることができなかった。


 やっと助かる希望が見えたんだ。


 あとちょっとで外に出られたんだ。


 なのに、目の前の土砂でそれが潰える。


「あああ、ああああああ!」


 そんなの、どうして認められるというのか。


 ここまで心身共にボロボロにされて。


 それでも生きたくて。


 何とかしてやろうと意気込んで。


 足掻いて。


 汚したくない手を汚して。


 掴んだはずのチャンス。


 それがするりと抜けるのは、認めない。


 だから俺は土砂を掘るのをやめない、やめられない。


 手の皮がボロボロになっても、時々混じる石で爪が剥がれても、血が出てきてもやめない。


 出られなきゃ、待つのは餓死だ。


 まだまだ蓄えがあるとはいえ日々腐りつつある食料。


 いつまで食べられるかわからない。


 しかも、蓄えも有限だ。


 無理して食べたとしても、いつかは尽きる。


 どのみち、出られなきゃ餓死する。


 ここまで生きてきて、餓死なんて報われなさすぎる。


 まだ何1つ活躍してないのに。


 女の子にも出会ってないのに。


 それどころか、人間にすらあってないのに。


 餓死したら、今までの努力が泡になる。


 それだけは、嫌だ。


 何度も何度も土砂を掘り出して、後ろに放る。


 気が狂ったように、取り憑かれたように。


 気づけば後ろにはこんもりとした土砂の山が築かれていた。


「くっ、あああああ.....」


 だけど、通路を塞いでいる土砂は何故か減った様子を見せない。


 だんだんと焦りが募る。


 焦りでスピードが上がっても、中々減らない。


 減らないと、その分だけ逸る気持ちは焦りとして募っていく。


 もうなりふり構わず、犬のように土砂を掘り出し続けた。


 掘り方を変えようと、土砂はやはり減った様子を見せない。


 掘れば掘るたびに、奥から砂が無尽蔵かと疑うぐらいに流れ出てきて、その様相を変えない。


 そんな土砂と格闘する事しばらくして。


 やっと目に見えて土砂の量が減ってきた。


 募った焦りはその希望が出てきた嬉しさに合わせてさらにスピードを上げさせる。


 目の前の土砂がとてつもないスピードで減っていく。


 土砂が階段のところまで減っていき、重力に合わせて流れ出てくるようになった。


 これで、出られる!


 さらなる希望が見え、疲れかけてきた体が元気になるのを感じる。


 俺は土砂を掘り出し続ける。


 手がもう血塗れなのだが、そんなの御構い無しだ。


 必死こいて土砂を掘り出す。


 そして階段に差し掛かって3メートルほど進んだ時、ゴボッと土砂の塊が崩れた。


「うぉっ!」


 突然のことに対応できずに俺は崩れた土砂に埋まる。


 そんな大した量ではなかったので、俺はすぐさま顔を出した。


 その時、俺の頭には希望しかなかった。


 もしかしたら、これがラストの土砂で、下の支えがなくなったから落ちてきたのだと。


 上を向けば、次の区画が見えるものだと。





 だけど、現実はそう甘くはなかった。




「ああ、あああ」


 俺は上を見上げ、そして現実を突きつけられ、意思のない情けない声が漏れる。


 もう、何も考えられない。


 頑張って、努力して、足掻いた先の結果が、これか。


 あんまりじゃないか。


 少しぐらい、優しくったっていいじゃないか。


 何でここまで俺を虐めるように事が運ぶんだよ。


 もはやこれがご都合主義か?ってぐらいに。


 こんなご都合主義、こっちが願い下げだ。


 だったらそんなのなければいいのに。


 どうして、どうしていつもこうなるんだよ。


 何でいつも、希望を抱くとすぐに絶望の底に叩き落されるんだよ。


 だが、嘆いても現実は変わらない。




 土砂が崩れた先、俺の目の前には大小様々な岩が積み重なっていた。




 土砂みたいに掘り出せない。



 下手に掘り出そうとすれば、崩れて潰される。



 つまり、外に出れない。



 完全な、詰み。



 俺は、餓死する。



 真っ白な思考は、その結論に至る。


 その結論に至って、真っ白な思考ですら考えるのをやめた。


 思考回路が完全に止まり、俺の時間が止まる。


 しばらく、世界から音が消えた。


「.....ぁぁ」


 そして、俺の中の時が動き出す。


 ゆっくりと、現実を受け入れ始めた体が動きを始める。


 それに反して、意思は現実を受け入れない。


 漏れ出る声が、それを表している。


 体は勝手に動き、岩から離れる。


 掘り進めていた穴から出る。


 そこに俺の意思はない。


 現実を受け入れたくない意思と、何か動かなければという体が相反して起こった現象。


 そうして、上へと続く階段をもう一度見て、現実を見て、俺の意思はゆっくりと氷解するように現実を受け入れ始めた。


「あ、あ、あ」


 現実を見て、意思から様々な負の感情が溢れ出す。


 怒り、悲しみ、痛み、苦しみ、そして、絶望。


 溢れ出した負の感情は俺の心に流れ込み、俺の心は限界に達した。


「あぁ、ああああああ」


 流れ込む激情に、ビキビキと音を立てて、俺の心がヒビ割れる。


 そして、心がバキッと壊れた時。


「あああああああああああああああああああああああ!!!」


 俺は、穴から逃げるように走り出した。



 •••


「ああああああああああああ!!」


 俺は叫びながら全力で走る。


 心を支配する激情に身を任せてひたすらに走る。


 それは、無情を体現するような岩の塊から逃げるためか。


 はたまた、まだ他の入り口があると期待しているためか。


 ただただ、走る。


 とにかく走る。


 あてもなく。


 無意味に。


 ナニカを踏みつけても止まらない。


 壁にぶつかってもすぐに走り出す。


 それこそ狂ったように。


 取り憑かれたように。


 息が切れるのも構わずに走る。


 痛みも感じない。


 苦しさも感じない。


 疲れも感じない。


 だからひたすらに走り続けられる。


 理不尽で、暴力的な現実に対する激情をエネルギーにして走り続ける。


 何も考えられない。


 何も聞こえない。


 何も感じられない。


 もうここがどこかすら分からない。


「はっ、はっ」


 走り続けていた体が限界に達した。


 それでも、突き動かされるように走ろうとする。


 よろよろと、前に進む。


「がっ!」


 だが、今まで何度か踏み抜いてきたナニカに躓いて転び、倒れる。


「ぐっ、ぐうううううう」


 顔面を強打した俺はその痛みに唸りながら、体を起こす。


 足元を見れば、腐りかけたゴブリンの死体があった。


 俺が転んだのも、今まで踏み抜いてきたのも、こいつだろうか。


 だが、転んだおかげで少しばかり思考が元に戻ってきた。


 もう、走ろうとなんて思わない。


 気づけば、足の筋は少し切れてるみたいで痛い。


 まだ腫れが引いてないのにまた顔面強打したからもうパンパンで表情筋が死んでいる。鼻血も出ているな。


 手も、傷だらけで血だらけ。半分ぐらいの指の爪が剥がれている。


 なん、だ、これ。


 現状を確認すると、俺は我に返る。


 俺は何をしていた。


 ここはどこだ。


 なんでこんなんになっている。


 思い出せ。


 すると、すっ、と思考回路が戻ってきた。


 それと同時に、断片的に記憶が戻ってきた。


 また絶望がぶり返し、心を埋め尽くそうとする。


 切り替えろ、俺。


 絶望して暴走している場合じゃないぞ。


 そんなことしていたらすぐに衰弱死する。


 心の中に渦巻いていた激情が、鎮静されていく。


 だんだんと落ち着いていく。


 まともな思考が戻ってくる。


 よし、まずは状況確認だ。


 俺はこんなんになるまで何をしていた。


 土砂の山を見た時から記憶が曖昧だ。


 戻ってきた記憶も断片的だ。


 あの時確か「もしかして俺出られないんじゃね?」ってのが頭を過ぎったことは覚えている。


 もしかして、それで俺暴走していたのか?


 ありえるな。


 達観を覚える前の名残で、1つの出来事に一時的にめっちゃ感情移入しちゃうからな。それで暴走したのかもな。


 今までもそうだったけど、めんどくさいな。


 常に冷静な自分を保っていたいものだ。


 ってか何で俺、走ったんだろう。


 落ち着きを見せて、少しばかり余裕ができてきた思考で、俺はそんなことを思う。


 俺は逃げたかったのか?


 ただの土砂相手に?


 俺は何を恐れるんだ?


 訳がわからない。


 何で俺、走ったんだろう。


 暴走するのは分かる。


 正直、あの状況だと出られないって絶望するのは分かる。


 そしてがむしゃらに土砂を掘り返すところまでは分かる。


 だけど何で走るんだ?


 疲れるだけだろ。


 アホくさいわ。もう二重人格だって認識して切り捨てたいわ、その時の自分。


 それに、土砂の山を見て絶望して暴走するのもおかしいだろ、納得しといてあれだけどさ。


 過去に自分で考えたじゃないか。


 武器があるから、戻ってくる可能性が高いって。


 石斧とかよりも強い武器だ。狩りとかに役立つだろう。


 緊急事態なら、それらを忘れるはずがない。


 だけど残されていた。


 本当に余裕がなくて残っているかもしれないけど、それならいい武器数本選んで持っていかないだろう。


 武器庫にはそこそこの量があったが、それでも40程しかなかった。それすら運べる余裕がないほどに減っていたら、まずあそこは塞げないし食料だって持てるだけ持っていくはず。そもそも封鎖すらしないだろう。


 しかし、実際には塞がれていたし食料を持ち出そうとしたゴブリンは見かけていない。封鎖だってされた。


 つまり、そこそこ人数的には余裕があるけど武器を持ち出してないってことだ。


 戻ってくる可能性は十分ある。


 そして、病気を治す手段もある。


 じゃなきゃ戻ってきて生活するにも常に怯えて生活しなきゃいけないからな。


 それに、戻ってくるのもそう遠くはない。


 奴らだって生活がかかっている。


 人数に余裕があるってことはその分食料の消費が激しい。


 狩りで確保しようとするだろうが、限りがある。


 奴らは群れで動く。


 群れで動く生き物にとって、数とは力だ。


 力を落とさないためにも、食料の確保は必須となる。


 早く戻ってこれば、食料庫の食料が使える。


 今戻ってこないのは、病気を治すその手段が今ないからだろう。あそこを塞いだのも、その手段が戻ってくるまでの時間稼ぎだろう。


 近い未来戻ってくる。


 戻ってくるなら、またあそこは開通される。


 そうすれば、出ることができる。


 普通に考えればここまで出てくる。


 前に考えたことも混じっている。


 なのに何故、暴走したんだろう。


 今後の課題、一歩退いて物事を考えよう。


 そうすれば、今回みたいに暴走したりなんかしない。


「それじゃあ、あそこが開通するまで待ちますかね」


 暴走していた頃に比べ、()()落ち着いた俺は、よっ、と立ち上がると、道を進み始めた。


 とりあえず、食料庫に寄ろう。


 •••


 あぁ、何故ここまで上手くいかない。


 あそこを封鎖してからもう5日経った。


 食料と水はギリギリだが何とかなっている。新たに病人も出てない。


 あの選択は上手くいっている、と見えるだろう。


 だけど、実際は全く違う。


 ギリギリの生活で同胞達のイライラやストレスが溜まり、ギスギスとした空気が流れている。


 時折、殴り合いが起こることもある。


 そんな環境のストレスで、赤子が流れた者もいる。


 我がいなければ、とっくの昔に散り散りとなっていただろう。


 それでも、上手く纏められていない。


 だが、ここまではまだ予想できていた。


 予想以上にギスギスとしているが、許容範囲内だ。


 ギリギリ統率が取れている。


 それ以上に問題なのは、『あれ』が中々帰ってこないことである。


 遅くとも3日で帰ってくるはずの『あれ』が5日経っても帰ってこないのは、何かあったと考えるべきだろう。


 全く、非常事態だというのに何故こうも上手くいかない。


 こっちからそこそこ実力のある者を送り出したいが、そうすれば食料の確保が難しくなる。


 そうすれば、瓦解するのも時間の問題だろう。


 だから我らは待つしかない。


『あれ』が帰ってきて、病気の元を浄化してくれるのを。


 そうとは分かっていても、やはり苛立ちが募る。


 今までは上手くいっていたのだ。


 多少のトラブルはあったけど、死の行進(デスマーチ)と呼ばれるほどの群れにまで成長した、いやさせたのだ。


 そこまでは順調だった。


 だが、あの人間が来てから全てが狂った。


 病気は流行り、多くの同胞が死んで、今ではこうやって避難生活のような無様な生活を送る羽目に。


 生き残るためにも己の力ではなく他の者の力を頼らねばならない。しかもそれは同胞ではない他の種族の者を。


 苛立ちが募る。


 だが、我が取り乱せばすぐにこの群れは瓦解する。


 取り乱すわけにはいかない。


 上は常に冷静でなければならない。


 だから我は冷静に待つ。


『あれ』の帰還。


 そして、あの忌々しい人間を殺す機会を。



 •••


 倉庫区で上の区画への階段の開通を待つことに決めてから、もうどれだけ経ったのだろうか。


 時計なんてものはないから時間が分からず、太陽があるわけでもないから日付が分からない。


 かれこれもう10回ぐらいは寝起きした。


 松明が明るくて中々寝付けないが、それでもそれくらいは寝起きした。


 だけど未だ変化はない。


 それでも、食料にはまだまだ余裕があるからそんなに焦っていない。


 焦って損したのは、前回だけで十分だ。同じミスはしない。


 じっくり力を蓄えておこう。


 ちなみに、この岩窟に備え付けられている松明は不思議で、継ぎ足す必要がない。延々と燃え続けているのだ。


 浄化装置の石みたいなのと同じだろうか。あれも原理が分からない。


 ラノベの中だと魔道具とかと呼ばれているやつなのかもな。


 そんな松明、明かりにだけしておくのはもったいなくて、数本拝借して焚き火みたいにしてみた。


 これがちゃんとあったかいのだ。


 試しにちょっと腐りかけている肉を焼いて食べてみたのだが、ちゃんと焼けた。結構美味しかった。


 調子に乗って結構腐っているやつも焼いて食べたが、それは不味かった。幸い腹を壊すようなことはなかったが。


 そんな感じで、俺は岩窟ライフを満喫していた。


 .....いや満喫したらいかんか。


「ふっ!ふっ!」


 だけど、岩窟の中はあまりに暇なのだ。


 平和なんだけど、退屈なのだ。


 俺以外生き物なんていないからな。


 虫の息の動物?さっさと屠って食べました。


 束の間の休息だろうが、暇を持て余した俺。


 そこで、俺は体を鍛えることにした。


 ゴブリン達との戦いで何より感じた自分の力不足。


 今まで鍛えたことなんてないから、なんて甘えは許されない。


 強くなければ、生き残れない世界なのだ。


 腕立て30、腹筋背筋50、倉庫区のランニング一周。そして、武器庫から持ってきた長めの両手剣の素振り50本。


 それを1セットとして、1日3セット行う。


 毎日やっても意味がないらしいので、二日に一度行う。


 最初はきつくて、これよりももう少し回数が少なかったが、今じゃ慣れて少しずつ回数を増やしている。


「ふっ!ふっ!」


 今は剣の素振り中。


 ど素人感が凄まじいが、剣を振るってことに慣れておくだけでも違う、らしい。ラノベの知識だから確証はない。


 ただ真っ直ぐ振り上げて、真っ直ぐ振り下ろす。


 簡単だと思っていたが、これが難しい。


 振り上げるのはいいけど、真っ直ぐ振り下ろすのが難しい。


 真っ直ぐ振り下ろせたとしても、剣が止まらずに地面に当たる。


 止める瞬間に手をぎゅっ、と握らなければならないってことに気がついたのはつい最近。腕の力だけだと止まらなかったのだ。


 止められないと、当たった時はいいけど空振りしたら隙を晒すからな。止められるようにしないと。


 今となっては9割がた止めれるようになった。


 それでも1割ぐらい地面に激突するから、開通するまでに直しておきたい。


「ふっ!50っ!」


 そうしているうちに、素振りが終わった。


 だいぶ余裕が出てきたな。次は70本でもいける気がする。


 素振りが終わると、俺はちょっとお遊びで袈裟斬りとか逆袈裟とか突きをやってみる。


 袈裟斬りと逆袈裟は真っ直ぐ振り下ろすよりも簡単なので、ちょっとした感じの範囲内でやる。


 突きはちょっと難しいが、10回中何回同じ場所に当てれるかってので練習中。命中率は、ご想像にお任せします。


 そんなこんなで素振りが終わると、俺は走る。


 前とは違って、ちゃんとペース配分をしている。それも初心者配分だが。


 それでもちゃんと疲れるな、ぐらいの配分でやっている。疲れなくても意味がないし、疲れすぎで他のメニューができなくなったら意味がない。


 ゴブリンの死体は避けつつ、時々陥没しているところは飛び越えて走る。


 時々壁キックとか壁を走るとかやってみるが、それは全く身につかない。


 すぐに重力に引かれて落ちる。


 異世界に来たんだらちょっとかっこいいことやってみたかったが、残念。


 お遊びだからできなくてもいい....うん。


 そうして一周走ったら、飯を食う。


 肉を焼いて、まだ傷んでない植物の実を食べる。


 植物の実はあまり甘くなく、どちかというと味は野菜に近い。


 食感も味も初めての味で、前の世界の野菜で例えることができない。


 鼻に抜けるような爽やかな香りが特徴的だ。


 そうして飯を食って、少し休むと俺はまた体を鍛え始める。


 それを飯を食うまでの3セットやると、ちょうど三食取れて1日のリズムができる。


 そして、寝る。


 そんな日々を過ごしていた。


 筋肉がついてきた感覚はある。


 力もスピードも上がってる気がする。


 でも実際どれくらい強くなっているか分からない。


 これでステータスみたいなのがあったらなぁ....。


 どれだけ自分が実力を持っているかが分かるのに。


 体を鍛えるたびに、俺はそんなことを思う。


 決して隠された力があるなんて期待しているわけじゃない。


 実はとんでもスキルを身につけていたなんて期待していない。


 期待、していないんだからね!


 ...この流れ、2回目だけどただ虚しくなるだけだな。


 今度からはやめよう、覚えてたらだけど。




 そんなこんなで、時間は過ぎ去っていく。





 そして、岩窟内に爆音が響き渡った。








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