十二月 母
王女様のお忍びパーティーから一週間後、ボクらは放課後にいつもの生徒会室に集まった、何時も通りの学園メンバーの全員である。
本日の議題は王女様と友達になってしまったボクが、この先元通りの庶民生活に戻るにはどうしたらいいのか。最初に口を開いたのは生徒会長だった。
「王族が相手では、我々月のグループでも簡単には口を出せない。諦めて運命を受け入れたたほうがいい」
身も蓋もない無慈悲な一言で早くも会議終了になりそうな予感。続けて麗華さんと美咲さんが追い打ちをかけてくる。
「今回は私の力でも変更不可能です。何より、無理に変える必要はないのでは?」
「そうだよ。幸子ちゃんは王女様を助けてあげたんでしょう? 悪いことはしてないしね。なら、そのままでいいんじゃないの?」
さらに葉月君と神無月君が後に続く。
「そうだぜ。せっかくいいことをしたのに、それをなかったことにしようなんて酷いぜ」
「王女様を名前で呼ばせてもらえるなんて、流石は幸子ちゃんだよ。僕にはとても出来ない」
最後に花園さんが締めくくる。
「それでは、放置…という結論が出たようなので、この会議はこれにて終了とよろしいですわね?」
ボク以外の皆は沈黙で会議を終了させようとするが、このままだと皆は我関せずで助かるものの、ボク一人の胃が犠牲(?)になってしまいそうなので、慌てて異議を唱える。
「いやいやいや! 待って! 勝手に終わらせないで! 確かに嫌われるよりは好かれたほうがいいけど! 相手は王女様でボクは小市民だよ! 身分差とかもっと色々考えることがあるでしょ!」
取りあえず適当な意見でもいいので、言うだけ言って会議の終了を遅らせる作戦に出ることにした。たとえとっくに結果が決まっていたとしてもだ。人はそれを悪あがきと言う。
ボクは何でもいいのでさらに言葉を重ねようとすると、いつの間にか生徒会室の扉が微かに開いていることに気づいた。
その隙間から、つい最近聞いた覚えのある美しく澄んだ女性の声が、生徒会室中に響き渡る。
「その…幸子さんは、私のお友達は嫌なのですか?」
「…え?」
必然的に生徒会室にいるメンバー全員から、扉の隙間に注目が集まり、やがてゆっくりと開いていき、今現在活発に話し合われているエリザ王女様本人が、今にも泣き出しそうな表情でこちらをじっと見つめながら立っていた。
そして先程と同じように、彼女は重い口を開いた。
「幸子さんが、私のお友達が迷惑というなら…」
「いえ! 王女様とお友達でよかったです! ずっと友達でいたいです! はい!」
彼女がか細く言葉を発する前に、ボクまるで軍人のように直立不動でパイプ椅子から立ち上がり、大きな声で叫んでかき消した。
そのまま流れるように麗華さんが立ち上がり、エリザさんを、取りあえずこちらにどうぞと生徒会室の空いているパイプ椅子に腰かけるように促し、王女殿下の護衛の人に廊下の見張りを頼むと、素早く扉を閉めて鍵をかけた。
当然のように外には、某国の王女様を一目見ようと生徒だけでなく教師も大勢が集まり、そこかしこに人だかりが出来ていた。
麗華さんの動きに合わせた阿吽の呼吸で、皆が全方位に遮光カーテンを広げて彼女の存在を隠す。
全てが終わったあと、一呼吸を置いて、生徒会長が王女様に声をかけた。
「それで、王女殿下は学園に何の御用でしょうか?」
「綾小路幸子さん」
生徒会長の質問に、まるで最初から答えが決まっていたかのように、エリザさんは一言だけ、そう答えた。ボクの名前をだ。 当然室内の全員から視線が集まり、ものすごく落ち着かない。
そしてさらに言葉を続ける。
「私を、エリザちゃんと呼んでくれませんか?」
別に責められているわけではないのだが、彼女の心の底から悲しいオーラが出ており、何というかとても居たたまれない。とても耐えきれずに、ボクは譲歩することにする。
「エリザ…王女殿下」
「違います」
「エリザ…王女様」
「違います」
「エリザ…様」
「違います」
「エリザ…さん」
「違います」
「すいません! もうこれ以上は! エリザちゃんは勘弁してください!」
即座にエリザさんに向かって我が国で全力で許しを請うポーズ、土下座を行う。
彼女はしばらく考えて、もうこれ以上の譲渡は引き出せないと思ったのか、今はそれでいいですと許してくれた。
これ以上ランクを下げると、一般市民にエリザちゃんと呼ばれる王女殿下となり、最悪外交問題になってしまいそうである。
しかしエリザさんは、今は…と言ったけど、本当に呼び捨てで呼ばせたいのだろうか。身分差とか絶対に越えられない壁があるので、少しは躊躇って欲しい。
ボクから譲歩を引き出せたことが嬉しいのか、何となく満足気な王女殿下に麗華さんがお茶を出し、生徒会長がコホンと咳払いをする。
そしてもう一度学園に来た目的を問いただす。
「ですので、幸子さんです。この学園の生徒だと聞いて、個人的なお礼をと思いまして、本日お伺いさせてもらいました」
真っ直ぐボクのほうを見つめるエリザさんに、若干たじろぎながらも、何とか答えを返そうとしどろもどろになってしまう。
「そっ…そうですか。王女…いえ、エリザさん自ら…そっそれはわざわざ、あっありがとうございます」
ボクは何度も言葉に詰まりながら、そう返すのが精一杯だった。お金持ちの皆とは学園に通うのは慣れたものの、本物の王女殿下は何というか。こうお姫様オーラを全方位に放っている感じがするので、向かい合っているだけでも、とてつもなく緊張してしまう。
「代わりのドレスは、幸子さんの自宅に送り届けてあります。我が王室の専属職人に依頼し、一週間という短い期間ですが全力をもって仕上げてもらいました。前に着ていたみすぼらしいモノとは違い、本当に素晴らしい出来ですよ」
「ふーん、みすぼらしい…ね」
王女殿下の説明の後に、麗華さんが若干声を荒げながら相づちを打つ。そう言えばボクの特注のドレスは麗華さんの如月グループからもらったものだった。
もちろん元男であるボクにドレスの良し悪しは全くわからないけど、両方共にとんでもないお金がかかっていそうなのは雰囲気だけで十分に伝わってきた。
まあ、その高級ドレスは王女様のアレで汚して処分してしまったわけだけど。
「そうです! 今度行われる王族主催のパーティーで、送ったドレスを着てもらえませんか? この間の如月のドレスよりも、ずっと素敵ですよ!」
「へぇー、ずっと素敵なの…ね」
ガンガンに暖房が効いているはずなのにまた室温が下がった。エリザさんと麗華さんの周囲が特に寒そうだ。
「はぁ…幸子さんが私の親族でなくて、とても残念です。いっその事、如月の養子ではなく。王族に組み込むのが無理でも…」
「…そろそろ怒っていい?」
これ以上はエリザさんと麗華さんの仁義なきキャットファイトがはじまってしまう。手を出させたらマズイ。その瞬間に外交問題になってしまう。
ボクが止められるとは思えないが、何とかして止めなければと思い、王女殿下に意見するのはものすごく恐れ多いけど、必死に口を動かす。
「あっ…あの、エリザさん。ボクは麗華さんのおかげで、とても助かっているんです。だから彼女のことを悪く言うのは…その、やややっ…止めてください!」
「わかりました。幸子さんが言うならそうします」
どうやらわかってくれたようだ。いや待って。おかしくない? エリザさんはこんなあっさりと聞いてくれるものなのかな?
ボクは一人ウンウンと唸っていると、周りの皆もとてもびっくりしていた。不自然に思ったのは、どうやらボクだけではないようだった。
しかしこれはこれで、別の意味でマズイのでは?…と戦々恐々としながら、続けて声をかける。
「あの、エリザさん。意見したボクが言うのも何だけど、そんな簡単に自分の意見を変えるのは、王族としてマズイんじゃないかな?」
「でも、幸子さんは止めて欲しいのですよね?」
「うっ…うん、麗華さんには色々とお世話になってるしね」
「ならば、やはり止めるべきです。私は幸子さんに嫌われるのは、絶対に嫌です」
ものすごく重要なことをさらりと言われた気がするが、エリザさんの大胆な告白はまだ続くようだった。
「現状では幸子さんに嫌われずに、如月グループを排除することは不可能です。つまり、この場は意見を変えるべきと判断しました。あの、私の言っていること、何かおかしいですか?」
エリザさんは可愛らしく首を傾げながら、ボクの顔を真っ直ぐ見つめて問いかけてくる。
はっきり言うと全てがおかしいのだけど、まず第一に最優先がボクということ、第二に現状ではと言った。ボクが許せば麗華さんと殴り合っても構わないということだ。
しかもその考えを皆の前で堂々と言ってのけた。何だかわからないが、彼女から底知れぬ恐ろしさを感じる。とにかく、何か…何か意見しないと。
「ええと…エリザさん。その考えは、ボクたち以外には言わないほうがいいよ」
「はい。幸子さん以外には信頼できるごく一部の者にしか表に出していません。王族の関係者は家族さえも皆、私のことは純粋で優しく、扱いやすい王女殿下としか思っていないはずです。なので大丈夫です。幸子さんに心配してもらえて、とても嬉しいです!」
きゃっと両手を頬に当てて、心底嬉しそうに身悶えしているエリザさんを見ていると、もう何が嘘で何か真実なのかまるでわからなくなってしまった。
取りあえず助けを求めて皆のほうに顔を向けると、あまりの急展開にフリーズしている皆の中で、一番に再起動を果たした生徒会長が、少しずつ噛み砕いで説明してくれた。
「王女殿下の世間の風評…いや、違うな。俺たち月の者も皆、今言った通りの純粋で優しく、そして扱いやす…いや、美しい姫だと思っていたので、言っていることは全て正しいと思ったほうがいいだろう。しかし…となるとだ。ここ十年で行われた、某国の大胆で革新的な方針は…」
生徒会長がチラリとエリザさんのほうに視線を送るが、彼女は気づいてはいるだろうけど、入れられたお茶を美味しそうに口に運んで、ホワホワとした春のような笑顔を浮かべ、質問には何一つ答えるつもりはないと、態度で表現している。
ため息を吐いた会長は、続けてボクに意味深な視線を送る。何をして欲しいのか理解してしまったボクは、そんなことで重要な問題をホイホイ答えてくれるはずはないんじゃ…と思いつつも、駄目元で聞いてみることにする。
「あの…エリザさん」
「はい、全て私が考えました。今までの政治及び経済基盤があまりにも前時代的でしたので、見返りを提示して、ほんの少しだけ手を貸しました。もちろん、契約を破った者には、それ相応の制裁を行いました」
ボクが質問をする前に、エリザさんは最初から最後までスイスイと淀みなく答えてくれた。
その後少し考えて、生徒会長がもっとも気になっているけど、怖くて聞けなかったことをはっきりと聞いてくれた。
「俺たちがこの事実を外部に漏らしたら、どうするつもりだ?」
「幸子さんを攫って雲隠れします。いちいち羽虫を潰すのは面倒なので。何より、貴方たちと明確に敵対すると、幸子さんに嫌われそうですし。ここは逃げたほうが手っ取り早いです」
ボクの中のエリザさんに対する恐怖度がどんどん上がっている。このままでは女子トイレの前で彼女を助けたのは、大きな間違いだったのでは?…と、思ってしまいそうだ。
しかしまだ、もっとも気になること。全ての始まりである質問をしていない。ボクは喉の奥から必死に声を出して、エリザさんに問いかける。
「その…どうしてボクなの? ボクはエリザさんをたった一度、助けただけなのに…それに、ボクが手を差し伸べなくても、きっと皆が…何でそこまで?」
「…いないのですよ」
心底疲れたという表情で、エリザさんは大きく息を吐いて言葉を続ける。
「少なくとも王族の周囲には、私に手を差し伸べるのは、相応の利益があるからです。それが全てでした。何の見返りもないのに自分の身を投げ売ってでも、私を助けようとする者。幸子さんのような方は一人もいませんでした。いえ、もういなくなったというのが正しいですね」
彼女は一口お茶を飲み、会話を続ける。
「今まで見返りなく助けてくれたのは、実の母様でした。しかし、私が物心がつく頃には、もうこの世からいなくなってしまいました。死因は病気らしいですが、怪しい所ですね」
自らの壮絶な過去を、お茶をすすりながら平然と語れるのはすごいと思う。
「そして心の拠り所である母様を失った私に群がって来たのは、下心のある者ばかり。子供が相手なので、与しやすいとでも思ったのでしょうね。まあ、逆に利用して骨までしゃぶり尽くしてやりましたが。当人たちは自分たちが子供に操られているとは、死ぬまで気づかないでしょう」
知ってはいけない王族の闇を聞いている気分だ。実際その通りだけど、小市民のボクが知ったら即断頭台コースだろう。しかし、今さらやっぱり止めますとは言えない。
「ともかく、扱いやすい王女を演じるのは大変なのです。四六時中常に気を張って騙し、騙されの演技してきましたが、先日とうとう限界が来て体調を崩してしまいました。そういった弱みを見せないように、わざと部下を離したのが、裏目に出た結果でしたね」
先日というのは一週間前のホテルのときだろう。ボクが通りかかったアレだ。
「私は意識が朦朧とする中、見も知らぬ他人に手を差し伸べる幸子さんの献身的な姿を見て、幼い頃に亡くした母様を思い出しました。そして、もう二度と失ってなるものかと決意したのです!」
力強くギュッと手を握りボクの顔を真っ直ぐに見つめるエリザさんだが、正直そんなに見られても困る。
ボクは助けを求めるように他の皆の様子をうかがうけど、皆はあーあ、幸子ちゃんがまたやっちゃったなーという、同情的な視線以外投げかけてくれない。
これはもう、詰みという奴だろう。
物心つく前に別れた母様、いわゆる母が子に向ける母性愛に飢えた子供が、十年以上必死に求め続けたモノが、今ようやく手に入ったのだ。その嬉しさは一体どれ程のものか。
だが少し待って欲しい。世の中にはボク以上の母性を持つ女性は大勢いるだろうし、何よりもボクは元男で今は幼女のようにツルペタ体型だ。
とてもではないがエリザさんの母様代わりにはなれないというか。本気で嫌なので誰か別の人に頼んで欲しい。お願いします。
「あの…幸子さん。私の髪を…」
そんなことを考えていると、いつの間に椅子から立ち上がって距離を詰めていたエリザさんの両手が、ボクの両手にそっと重なる。
彼女は何を言おうとしているのか知らないが、今までの態度が完全に裏返り、私今、ものすごく甘えたいんです!という雰囲気をヒシヒシと感じる。
でもボクに言われても…その、何だ…困る。とはいえ相手は王女殿下なので無下にすることも出来ず、心の中で本当にいいのか? いいのか? と何度も問いかけながら、いつの間にか目の前に差し出された彼女の輝くような金髪を、おっかなびっくりながらも小さな手でそっと触れて、やがて頭頂部へ。そのままヨシヨシと優しく髪を撫で擦る。
「はうぅっ…幸子さん…いえ、母様…もっといい子いい子してください」
うっとりした表情で身を任せて黙って撫でられ続けるエリザさんの様子に不安にかられたボクは、背後の生徒会メンバーに視線だけでも助けを求めると、皆は関わり合いになりたくないとばかりに、一斉に目をそらした。神は死んだ!
「次は、ギュッとしてください。頑張ったね…や、偉いね…エリザちゃん…と褒めてくれると、もっと幸せな気持ちになれます」
どんどんとエスカレートする要求に、若干涙目になりながらも叶えることにする。今のボクが彼女の行為から逃れるには、望みを全て叶えるしかないのだと本能で理解してしまった。
「がっ…頑張ったね。えっ偉いよ。エリザ…ちゃん。いい子…いい子」
羞恥心と戦いながら何とか口には出せたものの、ボクはもはや死んだ魚の目のように何も映さずに黙って言われた通りに行うだけの機会に徹する。
自分が元来持っていた困った人を見捨てられない優しさなのか、幼子に与えられる母性なのかは不明だけど、とうとうエリザさんからエリザちゃんに呼び方が変わってしまった。
そしてボクは言われた以上にギュッと抱きしめたまま、背中をそっと撫で擦って奉仕してしまう。きっと彼女は逆らえないことを見抜いていたのだろう。
やはり、色んな意味で恐ろしい女性である。
「母様…私、たくさん頑張りましたよ。もっと褒めてください。母様…好き…大好きです」
こちらに要求する以上に、幼子が母親に甘えるようにエリザちゃんから過激なスキンシップを受けているボクは、何とか倒れないようにするのが精一杯だ。
もはや華奢な幼女が年頃の女学生に抱きつかれて行為に及ばされているようにしか見えないけど、それでもボクは与えられた役目を果たすべく、必死に頑張った。
やがて羞恥心に押し潰され、何も考えるな。感じろ! の精神状態となり、悟りをも開きかけた頃、扉の向こうのノックの音と共に、とうとう終わりの時を迎えた。
「失礼します。王女殿下、そろそろお時間です」
「ムニャムニャ…母様…もっとぉ…はっ! コホン! ありがとうございます。おかげでとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。名残惜しいですが、今回はここまでのようです。それでは、幸子さん、皆さん、ご機嫌よう」
ボクたちに優雅に一礼をしたものの、喜びを隠しきれずにルンルン気分のままスキップをしながら廊下に向かうエリザちゃんを黙って見送る。
扉の鍵を開けて護衛と顔を合わせた彼女は、また表の仮面である春のようにほんわかとした暖かな笑顔に戻っていた。そのまま護衛の人が一言、二言お別れの言葉を告げて王女殿下と一緒に去っていく。
姿が消えてからも、しばらくの間はボクも他の皆も一歩も動けず、まるで抜け殻のように立ち竦んだままだった。やがて長い長い沈黙の後、生徒会長と麗華さんが一言だけ辛そうに喋った。
「…帰るか」
「…そうね」
その言葉の通りに、ノロノロとだけど各自帰宅の準備を整える。相変わらず動きが完全に止まり、瞳のハイライトが完全に消えてしまったボクは、ほら、幸子ちゃんも帰ろう?と、美咲さんに引きずられるようにして、いつの間にか夕日に染まった学園を後にする。
今この瞬間、皆の心は一つだった。今日起こったことは全て見なかったことにしよう…と。
ボクもこの忌まわしい記憶に蓋をして、あと数日で冬休みだ。もっと楽しいことを。エリザちゃんは王女殿下で忙しい身だ、もう会うことはないだろうと、どれだけ希望的観測だろうと前向きに考える。
そうでなければ、今の精神状態ではまともに歩けない。
結局皆は別れるまで一言も口を開かず、ボクも自宅前まで美咲さんに付き添われて、その後は記憶がはっきりしないままいつの間にか眠ったらしく、気づいたら布団の中で朝を迎えていたのだった。




