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英雄王、その未来は  作者: ねむねむ
一章 英雄の再臨
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うたかたの夢

本編入ります。

そこは地獄だった。

鉄錆の匂いが辺り一面に充満し、大地が赤く紅く染まっている。周囲から聞こえてくるのは怨嗟の声、声 、声。恨み、怒り、嘆き、ありとあらゆる負の感情で満ち溢れていた。

そんな地獄を英雄王は歩いていく。その手には光り輝く剣が握り締められていた。

「死ねェェェェ、家畜風情の人族がァァァ!」

英雄王にとっての敵、魔族が血で染まった剣を振りかざしながら向かってくる。

英雄王は、

「キミたちに慈悲は与えない。疾く、死ね」

剣を横薙ぎに振る。それだけで、その一瞬で魔族は首を切られ、大地に伏した。

その絶技を成した英雄王は顔色一つ変えずに、歩み続ける。その瞳に感情は無く、深淵だけがあった。英雄王は虚無を携え、ただ一点を目指す。

英雄王にとっての最大の天敵、怒りの根源、それすなわちーーー"五大冥王"

そして、遂に辿りつく。

「 やっと逢えた…この時をどれほど待ちわびたことか。数多くの魔族を殺し、ただひたすらに歩み続けてきた。やっとーーー殺せる」

英雄王はその時初めて感情を露わにする。

口元には禍々しい笑みを湛え、凄絶なまでの殺気を放つ。その異常なまでの殺気は、大気を軋ませ、物理的な圧を持って五大冥王に降り注ぐ。

手にしていた光り輝く剣は、いつの間にか黒く染まっており、時折嘆くように明滅していた。

「さぁ、復讐の時だーーー鏖殺してやる」


天喰黒淵(ナハトルイン)


世界は黒く染まる。

といっても夢なんですけどね。夢とは記憶の整理でもあるらしいです。なので、主人公ノクトの過去でもあるわけです。主人公の闇は深い…のかも。

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