連携攻撃
「強い! これほどの多彩な攻撃を受けながらも一切ダメージを負っているように見えない!」
「恐ろしいまでの防御力だな。やはりあの鎧のお陰か?」
「でしょうね。あの鎧相当値の張るやつですよ? それを揃えてくるとは流石はヴィンクラーの令嬢ですね」
「ああ、この大会を制するための資金のかけ方が尋常ではないな。国宝まで運用してくるほどだ、いったいどれほどつぎ込んでいるか見当もつかんぞ」
さらに凄いのはオリヴィエの用意したものとヴィンクラー家が用意したものは別の資金源から調達したものだというらしいからな。だからこそオリヴィエは試合が始まるまで国宝の杖が使用されていることに気づくことが出来なかった訳だ。
「試合開始からすでに二十分経過しています! 試合時間は三十分、それを過ぎると試合中止となり審判たちの判定となってしまいます!」
「それまでに天蓋が試合を終わらせに行くだろうがな」
「そりゃあそうでしょう。なにせ彼は大会前に優勝宣言しちゃっていますからねぇ。恐らく彼のことを快く思っていない人はむしろ、この国にはたくさんいるでしょうね! それを考えると判定になったら問答無用で負けを宣告される可能性があります」
「つまり天蓋選手は残り十分以内に勝利しなければならないというわけですね! そろそろ勝負を決めに行きたいところか!?」
確かにそろそろ決着をつけなくてはならないだろうな。この二人も息を荒げている、これ以上の戦闘は酷か。
「……そろそろ限界が近いようだな」
絶えず攻撃をし続けてきた反動が徐々に出始めてきたようだ。俺の放つ攻撃魔法を捌ききれなくなってきている。相手の動きは如実に悪くなってきていると言わざるを得ない。
「まだよ! まだ私たちは戦えるわ!」
「戦える……? 違うな、それを決めるのはこの我だ!」
諦めずにここまで食い下がってくれたからな……せめて派手な技で引導を渡してやろう。俺は空中に巨大な炎を出現させた。
「天蓋、貴様がここまでてこずるとはな」
「今更止めを刺しにきたか? そこで黙って見ていろ」
「まぁ待て、せっかく我々の本気を見たいというのだ。一つぐらい教えてやろうじゃないか。それがせめてもの手向けだ」
そうか、お前も派手な技で倒した方が良いと思ったのか……限界も近い体で律儀な女だ。
「まさかアレをやるというのか?」
「その通りだ。滅多に使う機会などないし、また使うまでもないが、こいつらならばその価値はあるだろう」
「どういう風の吹き回しだ? 焔を浴びせる価値は存在せぬのだろう?」
「ああ、私の焔は浴びせんよ」
「ふん、まあいい。しくじるなよ」
「誰に物を言っている? ありえんよ、万に一つも」
そこまで言うならばお見舞いしてやるか。練習では実践出来るほどのものではなかったが、幸い相手は身動きできない状態だ。これならば上手くいくだろう。
「おーっと、どうやら何か取って置きの必殺技があるようだ! いったいどんな技なんだー!?」
「わからん。この状況であえて使う以上、他の選手達への威嚇と牽制のためなのだろうが」
「まさか発動前に教えてくれるはずもないからな。見逃すわけにはいかないな」
いや、せっかくだから教えてやるか、どうせこれ以降使うタイミングなんてないだろうからな。
「別に大層な技ではない。オリヴィエの得意魔法を二人で行うだけだ」
「得意魔法……プロミネンス?」
「察しが良いな、そうだ。本来あの魔法は単体では命中させることが困難な爆発魔法を転移魔法で直接ぶつけるための技術だ。当然その精度は転移に集中した方が上がる」
「つまり我が最大の魔法を発動させ、それをオリヴィエが直撃させる。それだけのことだ」
そう、爆発魔法はそれ単体では非常に命中させづらい部類に入る。なぜなら普通の炎魔法ならば、燃やしながら相手にぶつければ良いが、爆発の場合その爆発の瞬間に相手にぶつける必要がある。爆発させながら相手に当てようとすると、当たっていない時間分魔力を無駄に浪費してしまうからだ。要するに爆発魔法は他の魔法と比べて非常に燃費の悪い魔法になる。




