予選直前
とうとうPVが5000を超えました。とてもうれしいです。
これからもがんばります。
「予選の相手は……トリリトン校の奴らか。確か中堅以上のところだな?」
「ああ、だが相手はスタンレイだからな……完全に私たちを初戦で潰す気だろう」
「フィリパ・スタンレイか!? いきなりとんでもない相手とぶつかったな」
以前要注意人物として聞いた名前だな。……駄目だ、まったく思い出せない。やはり積み込みで暗記すると思い出すのに時間がかかる。
「幻蝶の異名を持つ女……分身魔法ミラージュアタックの使い手だ」
「……分身? それなら確か範囲攻撃しまくれば倒せるって答えが出たよな?」
「そうだな、貴様はもう片方のでかぶつを相手してくれ。初戦ではできる限り連携技を温存しておきたい」
パートナーの方は重戦士タイプだったな。小細工をしてこない以上オリヴィエの爆破に耐え切った場合苦戦する恐れがある。何としても俺が食い止めなければな。
「了解した」
「それはそうと、どの武器で向かうつもりだ? 大鎌を使うならこの衣装を着てくれ」
そのあからさまな鎌推しは何なんだ? そんなにその衣装が自信作なのか。
「そうだな、だったらその鎌で戦おう」
「そうかそうか、それならこの衣装を着てもらうぞ」
「天蓋君……本当にそれを着て出場するつもりですか?」
「そういうことになりますね」
ナタクは訝しげな目つきで俺に話しかけてきた。
「……君たちはこの大会で一番目立つAブロックで試合をすることになるんだよ? しかもいの一番に試合が始まる。この大会をその衣装で出たら、もうそういう選手だと思われることになるわけだけど……それは覚悟出来ていますね?」
「俺が他人からの評価を気にすると思いますか?」
「それは、死んでもありえないと思いますが」
「そういうわけですから、お気になさらずに」
そう言って俺はさっさと食事を済まして着替えることにした。この衣装一着で相当な金がかかっていると思うとなんとも不思議な話だ。俺にはただのボロボロなマントにしか見えないが……よく見たらこれローブの上にマントを羽織るのか……まあ俺が骸骨じゃない以上こういう服装になるんだろうが。
「どうだ? 似合ってるか?」
着替えた後みんなからの感想を聞くことにした。
「あー、うん。似合ってると思うよ」
「オリヴィエはどこに行ったんです?」
「彼女も着替えてくるって言ってたぜ」
あいつまさかあの黒統一の服で来るつもりじゃないだろうな……どんだけ地味なチームなんだ。
「ほう、流石に似合っているな」
「おい、お前ま……た」
言葉が出てこなかった。オリヴィエは予想通り黒い服で身を包んでいた。それは予想通りなのだが。
「なんで死神衣装の合い方が喪服着てんだよ」
縁起悪すぎだろ……ご丁寧に頭にベールまでつけている。
「貴様には死神をイメージしたので私にも死をイメージする衣装で合わせることにしただけだ」
「まさか俺の衣装一つ一つにお前も着替えるつもりか!?」
「当然だろう? こういうところでは着るものにも気を使わなければならない」
だからってここまでするか普通? 仮装パーティに出るんじゃないんだぞ。
「わかったわかった。もう何も言わん、時間になったら会場に向かうぞ」
そう言いながら俺は荷物置き場から鎌を取り出す。まさか人間になっても死神の真似事をしなければならないとは……なんとも因果な話だ。
「せっかくだから外で待ってる奴らにも見せてやろうじゃないか」
「これをあいつらに見せるのか!?」
「これから試合に出るのだから観客全員に見せるのだぞ? なぜ躊躇う?」
いやなぜって、直接あいつらから感想言われるのか、しかも試合直前に。
「なあ、試合が始まるまで内緒にしないか? 驚かせるために」
「……何? そうか、それもまた一興、と言えるな。わかったあいつらには試合の後で会いに行こう」
そうしてもらえると助かる。しかしこのままここにいるだけでも相当恥ずかしいな。知り合いだからか? 他人に囲まれれば案外腹を括れるかもな。




