表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
66/3256

選手宣誓

「……であるからして、諸君らの文武……」


 流石偉い人、話の長さも安定している。周りを見渡しても欠伸をしながら突っ立てる奴が過半数を占めている。


「誰がどう考えても選手登録はこれが終わってからでも良いだろ……」

「毎年こうなんですか?」

「ああ、一昨年なんて時間調整の為に下らねえ漫談を始めてしかもオチを言わずにぶつ切りにしやがったらしいぜ」


 グッダグダじゃないすか、後で抗議が殺到しないのか?


「……と、話はこれぐらいにしましょう」

「どうやら今年は簡略化したらしいな」

「一昨年のことで抗議が殺到したんじゃないですか?」

「……ありえる。世界中から有力者が集まってるからなぁ」


 まあ、だからこそそういう権威ある大会のスピーチはついつい張り切ってしまうものなのだろうな。


「次に、選手宣誓」


 そういうと群集の中から二人の青年が壇上へ上がった。確か前回の覇者、コスタリカ騎士学校の生徒だな。選手宣誓を行う二人は前年度の優勝者ではなく、一年生がやるそうだ。


「一年生ですよね?」

「ああ、風霊祭は前年度の優勝校の新入生がやるのが通例になっている。しかもあの二人誰だか知ってるか?」

「当然でしょう。ことあるごとに油断するなっていわれ続けましたよ」


 アブセンス王国第一王子シャルル・ド・オルレアン、そして十二歳の時に聖騎士(パラディン)の称号を賜った騎士の誉れだかなんだかのフォルジュ・セルヴァン。竹馬の友だとかで二人の息のあった連携は恐らく大会でも随一といっても過言ではない。


「流石にあのレベルまでいくと空気が違うな」


 先輩の言うとおりあの異様なまでに爽やかでイケメンな二人はまさに醸し出す空気が明らかに他の人間とは別物だった。この選手宣誓だけでどれほど多くの選手達と格付けを完了させてしまっただろうか。


「あれはファンの多い顔してますよ」

「ぶつかったら顔面台無しにしてやれよ」

「それやったら完全に悪役じゃないですか」

「なーに、お前らは二人とも悪人面してるから大丈夫だって」


 大丈夫っていったい何が大丈夫なんだ。


「選手宣誓が終わったみたいですね」

「ああ、この後正午まで式典が続くからな……覚悟しておけよ」

「そんなに続くんですか? 朝食食べてませんよ」


 これは面倒なことになった。正午まで退屈な式典を眺めているとほとんどの選手が居眠りをしていた。とは言っても騎士学校の連中は一人も眠っていないのは流石といったところか。

 それにしても、この式典はいつになったら終わるんだ。こういうときに限って全然眠くない。

 そのとき肩に重さがかかってきた。


「おい、起きろオリヴィエ」

「……」


 返事がない。完全に熟睡しているようだ。俺はオリヴィエの頭をつかみ、反対方向の席へ傾かせる。俺にもたれ掛かかるよりは女の肩にもたれ掛かった方が無難だろう。

 しかし再びオリヴィエが俺にもたれ掛かってきた。向こうの席を見ると、どうやら俺と同じようにオリヴィエを押しのけたようだ。目がお前のパートナーなんだからお前が面倒をみろと言っている。


「……マジかよ」


 開会式が終わるまでずっとこのままか。

 式典も順調に進んでいきもう少しで終わろうとしている


「ん……」


 やっと目を覚ましたか。


「やっと起きたか、もうすぐ開会式も終わるぞ」

「……うん……」


 完全に寝ぼけてるな。まだ目がウトウトしている。


「……それでは以上で開会式を終了します。参加者は係員の指示に従って移動してください」

「だそうだ、聞こえたか?」

「……ああ、わかっている。悪いな、しばらく肩を借りていて」

「気にするな」


 係員に連れられて控え室へと戻ってくると生徒会役員が勢揃いしていた。


「開会式ご苦労様でした。この後ここで昼食をとり、自由時間とします。他校の生徒と喧嘩などの問題を起こさないように注意してもらいます。また試合への遅刻は原則失格となりますので留意するように」


 会長の言葉に全員で返事をすると、会長が合図を送り出し料理が運ばれてきた。


「お兄様、開会式はどうでしたか?」

「お前はあれを楽しいと思ったのか?」

「いえ、実は生徒会の仕事をしなければならなかったので開会式は拝見できなかったんです。申し訳ございません、せっかくのお兄様の晴れ舞台を」


 意外と忙しいんだな。生徒会って。


「その理屈だと生徒会役員はこの大会に出場できないのか?」

「あ、その場合は免除していただけるようです」


 なるほどね。


「これから全員に組み合わせ表を配りますので各自確認してくださいね」


 ナタクから紙を一枚渡された。256チームが参加しており優勝するためには合計八回勝利しなければならないことになるが。


「トーナメント表ではないのですか?」

「まず予選を行い64チームまで数を減らすようです」

「わざわざ予選に分ける必要がありますかね?」

「勿論です。予選を行わないと優勝候補がいきなりつぶし合いを始める可能性が発生してしまいますから。大会を盛り上げるためにも予選を挟む必要があるんです」


 それって、何か違いがあるのか?


「その予選で優勝候補がぶつかるかも」

「ありえません。そうならないように分けられます」


 何……だと……?


「それはつまり」

「はい、トーナメント自体は完全ランダムに抽選されます。恣意的な操作を行うと公平性が損なわれるためですね。しかし予選の方は運営側が少しでも大会を盛り上げるために、有力者をまばらに分けてしまうんですよ」

「そんなのありかよ」

「むしろそうすることで自分たちが運営からどれぐらい評価されているか推測する事が出来ます。その性質上格下があてられる訳ですからね」


 格上とぶつかったらつまり、引き立て役よろしくってことか。世知辛い世の中だな……。


「身の程を格上が教えてくれるというわけか」

「逆に言うとあえて強豪同士をぶつけることも出来るわけですよ、今回のように」


 ……! なるほど、そういうのもあるのか。これは楽しみではあるな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ