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崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
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二人の話し合い

「それで話とはなんだ?」


 生徒会室から離れ、人通りの少ない場所へ移動し、話し始めた。


「俺もいろいろと貴方の事情はある程度把握しているつもりですが。今回の件はあまりにも目立ちすぎではありませんか?」

「……なるほどそういうことか」


 要するにあまり目立ちすぎたら本来の仕事がやりづらくなるのではないのか? ということか。


「どのようにお考えなのですかね?」

「考えるも何もない、そもそもお前とカルラに出会った時点で目立たないように行動するという選択肢が消滅しただけだ」

「……? 俺と……?」


 どうやら俺が置かれている状況を完全には把握出来ていないようだな。


「ナタク、逆に聞くが俺とカルラ、そしてお前。この三人を戦力として合算した場合どれほどのものになる?」

「……はい?」

「俺達の戦力だ。……これは仮の話だが、もしお前がこの世界の秩序を乱すとしたらどういう行動をとる? 当然俺と敵対する前提としてだ」

「それは……」


 まあ、当然答えるわけにもいかないか。冗談でも可能性でも言って言いことと悪いことがあるからな。

 インドラ……いや帝釈天、その部下である毘沙門天の息子ナタク。身内を巻き込んでまで俺に喧嘩を売れるはずがない、こいつには失う物が多すぎる。


「俺の目を盗んで、ということになるだろう。これはお前だかそうするのではなく、誰だってそうするだろうという話だ。警察の目の前で危険物を隠さずに持ち歩くようなものだからな」

「それと貴方が目立たなくてはならない理由とは?」

「この学園には誰がいる? 俺だけではないんだぞ? お前達がいる。その全員の目を掻い潜って馬鹿な真似をやり通せるやつらがどこにいる。はっきり言うが俺達の戦力を正確に把握できているやつらなどいくらでもいるんだぞ? 誰とは言えんがね」


 俺は手帳をナタクに見せる。この手帳の内容はこの世界で問題を起こしそうな奴の名前が記載されている。そこには当然俺達側の存在も載っている。ナタクとカルラの名前は無かったが。


「つまり、目を盗みやすくするためにあえて目立つと?」

「そうするほかあるまい、下手に忍んでいたら無理やりにでも表舞台に引きずり出されるのは目に見えているからな。そのために事件が起こるぐらいならこっちから目立ったほうがまだマシだ」


 どこで何やってるかわからない俺より、世間から注目を浴びて行動に制限のかかった俺のほうが遥かに御しやすいだろうからな。


「その場合ですと俺やカルラも表舞台に立たざるを得なくなるのでは?」

「その可能性は低い、その理由はお前たちが目立っても大した束縛にならないだろうからだ。お前らは俺と違って勝手な行動をすると天界にも波及しかねないだろう。それに対し俺なら天界も敵対勢力として切り捨てられるからな。そのための人選だ」


 責任は出来る限り下の者に取らせる。組織の常識だな。


「確かに我々が問題を起こすと天界側も知らぬ存ぜぬは通せませんね」

「お前は四天王の息子だからな。どうあっても毘沙門天に迷惑がかかる。そしてカルラに至ってはどうだ? あいつが何かやらかしてみろ、明王にまで累が及びかねない」

「だから貴方を押さえつけておけば強引な手段を封じることが出来るというわけですね?」

「その通りだ」


 ナタクは少しばかり思案しているようだった。


「良くわかりました。お時間を取らせてしまって申し訳ありません」

「気にするな。本来お前たちが知るべき事情じゃないからな。閻魔様だって何も言わなかったことを考えると、俺が深読みしているだけかもしれないからな」


 もっともそれならわざわざ俺に命令を下した理由がなくなるがな。


「では、俺はこれで……」

「ああ、……一つだけ聞きたいことがあるんだが良いか?」

「……? 俺に答えられることならば」


 ナタクは少しばかり驚いた表情を一瞬浮かべたが、次の瞬間にはいつもの真面目な顔に戻っていた。


「魔王アナトリアってどれぐらい強いんだ?」


 正直かなりの疑問だった。その能力次第では今のうちにいろいろと準備する必要がありそうだからな。そして魔王の力を知っていそうなのはこいつしか心当たりがない。


「魔王アナトリア……ああ、確か封印されてるだとかのあの女ですね?」

「……女かよ」


 というか、本当に知ってるんだな。


「確か魔法特化型のタイプでしたね。えーと、そこら辺の羅刹よりは強いとは思いますが……とは言っても四天王とかよりは弱いんで特に気にする必要は無いと思いますよ」


 それはまた中途半端な強さだ。


「わかった。ありがとう」

「どういたしまして」


 それだけの、軽い挨拶を交わした後ナタクは生徒会室へと戻っていった。俺もさっさとゲイルのいる教室に向かわなければな。

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