極端な設計
「使い道の無くなった魔導書から魔力を抽出して新しい魔導書を作成するのか。無駄が無いな」
「魔導書を自作する魔術師に多いんだけど……色々な部分で劣化がしやすいからかなりの頻度で魔導書を新調する人じゃないと使いこなせないんだけどね」
「魔導書の自作って……そんな事をする奴もいるのか……」
「殆どいないけどね。普通は店で売ってるので十分……って言うか、そっちの方が高品質だし」
まあ、いてもおかしくはないか。店で売ってるものより自分好みの魔導書を作れるならそっちの方が良さそうだしな。もっとも……素人よりプロが作成した本の方が完成度は高いだろうから店売り以上のものを作り上げるのは相当難しそうだがな。
「……店で再生紙を使用したものは売ってないのか?」
「あるけど……かなりマイナーだね。そういうのをわざわざ買うなら、羊皮紙とかそういう素材で出来た魔導書の方が良いだろうし」
羊皮紙か……確かにそういう素材で作られた魔導書もあるだろうな。
「紙より羊皮紙の方が品質が良くなるのか」
「一概にそうとは言えないけど、耐久性は高いね。何百年も保管出来るって言うメリットがある反面、逆に言えば百年とか、少なくとも数十年間は使い続けるつもりが無いなら完全にオーバースペックな耐久性って事になるね。文字通り一生買い替えないとか何世代にも渡って受け継がせるとか、そういうレベルで長い目で見る魔導書になるよ。これは再生紙の魔導書とは真逆の発想だね」
自分が生きてる間に何度も新調する必要のある魔導書か、数百年間保管し続ける事を前提とした魔導書か。前者は何度も調整をし直す必要があるが、後者は一度作ったら二度と再調整しないくらいの気概が必要になるな……どっちにしても、普通の魔術師にとっては極端な設計思想だな。




