改良の余地
「確かに作ったそばから壊されまくったら手元に残るのはゼロになるから勝ち目は無いな。逆に、質を上げる事で多少生産能力に難が出ても残りが出るなら多少は勝ち目もあるか」
量で勝てないなら質を上げて勝負するしかないわけだ。
「そこら辺のバランス感覚が近年になって洗練されてきたって事だね。……正確には質と量の両立が出来るようになってきたって事かな」
「技術力が成熟していけば、どこかで確実に性能は頭打ちになってくるからな。そこからのブレイクスルーが起きない限りは、少なくともその時点での水準の高品質なモノが大量生産される事になるだろうな」
それこそ鉛筆なんて直近の数十年間の間に品質の劇的な変化なんて発生していないからな。家電製品なんて十年どころかほんの数年で時代遅れになるのと比較したら、完全に進化の余地の残っていない成熟された技術と言える。
「まあ、ゴーレムがその頭打ちの状態になってるかどうかは結構意見が分かれるところなんだけどね」
「ん? そんなのより高品質なものが作れるか作れないかの二択なんだから分かれようが無いんじゃないか?」
「ところがゴーレムの場合そうも言えなくてね。色々な意味でまだ進化の余地が残っているんじゃないかって言われてるんだよね。そのうちの一つが、ゴーレム専用の業務を作れるんじゃないかって意見だね。ゴーレムは基本的に何か役割を持って作られるわけだけど……その役割そのものに改良の余地が残ってるんじゃないかって話」
なるほどな……土木作業をやるためにゴーレムを製造したとして、仮に完璧な合理化に成功したとしても、革新的な建築様式や新素材、新構造の発見や開発によって作業工程や内容が根本から覆れば完璧なゴーレムは即座に時代遅れの旧式へと身を落とす事になるな。




