ギルドの反撃
「勿論、黙って無かったよ。自分を利用して金を稼ごうとしてたわけだし、そのお金はどこから来るものなのかは、簡単な問題だよね」
まあ、悪徳ギルドに金を払う奴なんて消去法で考えても騙されている人しかいないだろうからな。
「騙されてる客の立場から考えてみれば、高い金を出してからようやく依頼が受理されて問題の解決に挑んでくれるわけだから、値段相応の結果を求めるようになるわけだ」
そもそも客をたらい回しにして、その後で本命とも言える大手のギルドを紹介していたら、客からしてみたら今まで出してきた金の分まで働いて欲しいという願望が広まるのも無理のない話だろう。
「裏で繋がってるかどうかなんて誰にも分らないわけだけど、要求するハードルはどうしたって上がっちゃうよね」
「そりゃあ、問題の一つも起きるだろうな。その悪徳ギルドを潰してもおかしくないんじゃないか?」
「実際、そういう争いがあったみたいだね。争いって言うより、一方的な制裁みたいな感じだったらしいけど」
「まあ、相手はトラブル解決のプロ集団みたいなものだからな……その気になれば悪徳ギルドの摘発くらいはやってのけるだろうな。当然、その際には衝突もあったと考えるべきだろうな」
武力行使がどの程度まで許されるかにもよるが……戦闘職が多数在籍しているであろうギルドだ。かなりの規模での抗争が発生したと考えるべきだろう。
「だろうね。法規制が入るくらいだし、それに結構偉い人達も襲撃されたらしいからね」
「……悪徳ギルドにはそれなりに偉い人も関わってたんだったか? そっちにも何かあったみたいだな」
「元々、何かしらの形で規制しようとはしてたみたいなんだけど、それを妨害してたみたいだね」
ロビー活動って奴か。まあ、楽して儲ける事が出来るのであれば、その金の一部を上納金として差し出す仕組みを作ってしまえば偉い人達もその状態をなるべく長く維持しようと頑張ってくれるだろうな。
「権力者にまで牙を向けるのか……まあ、他の勢力に根回しはしていたとは思うが……」
「流石にやってたんじゃないの? じゃないと自分達まで規制の対象にされかねないし」
「確かにそれは避けたいだろうな」
多少の被害は受けていたわけだからな……恐らく根回しをするのに時間がかかって、甘んじて受ける他無かったのだろう。




