弱小は長生き出来ない
「まあ、大多数の人間は最大手のギルドに仕事を依頼するだろうから、それ以外のギルドが生き残る術は依頼の報酬を安く設定するか、専門分野に特化するかの二極化しかないだろうな」
「そうだね。ただ、安くやるって方向性だとたくさん仕事が舞い込んで働く人の多いギルドの方が効率化できる分だけ有利なんだよね」
そこは正しいだろうな。仕事というのは規模の大きい企業の方が効率良く仕事を回せるものだからな。
「それはそうだろうな。例えば同じ一人が体調不良で休むにしても、十人しかいないギルドと百人いるギルドとでは負担が違い過ぎる。部署……という表現が合っているのかは知らないが、急な欠員が出た時に仕事の引継ぎが出来るのと出来ないのとでは業務への支障が段違いだ」
「戦闘専門の人と探し物専門の人とじゃこなせる仕事が違い過ぎるからね。その人にしか出来ない仕事があるのに、その人が病欠じゃ溜まっていくだけだもんね」
要はそういう事だな。最悪の場合、一人いなくなっただけでギルドが機能停止する危険性があるわけだ。
「仕事がこなせないんじゃ、依頼人は依頼を取り下げて他のギルドに依頼する事になる。そうなった人が次も規模の小さいギルドに依頼するかと言われたら……そんな事は無いだろう。人数の多い……つまりは規模の大きなギルドに依頼する事になるハズだ」
結局、弱小ギルドは長くは生き残れないというわけだ。




