一芸の意味
「まあ、こういうのはだいたい要領良く手柄を立てられる人が評価されるからね。一芸に特化してる人ってのはどうしたってこなせる依頼が限られてくるし」
「依頼が限られたってモンスターの数が激減しない限りは仕事の数は変わらんだろ」
「それは『一芸に特化している』っていうのを誤解しているね。ここで言う一芸っていうのは、モンスター討伐が得意だとか、戦い方だとかそういう広い範囲の話じゃないんだよね。もっと局所的な話で、特定のモンスター……もっと言えば、特定のモンスターを特定の倒し方で討伐するのが上手いとかの専門家が多いって話だね」
モンスターの討伐が得意……という話では無く、特定のモンスターの討伐が上手いという話か。
「害虫駆除のスペシャリストも害虫が出なくなったら仕事は減るし、かと言ってイノシシみたいな害獣相手にするのは素人同然という話か」
「そういう事だね。だからモンスターを効率良く倒せるようにギルドが結成されたんだけど……大きい街程モンスターから襲撃される頻度も少ないし、そこに住んでる人達だってモンスターに怯える生活とは程遠い生活をしているわけだからね。人気のあるところに仕事を奪われちゃうわけだね」
なるほどな。街がモンスターの脅威にさらされる事そのものが少ないから、何とかなってしまうわけか。そして、いざ驚異的なモンスターが現れた際になす術が無くなってしまっているというわけだ。




