遅すぎた対応
「手遅れって……それで国が滅んだら次は周辺の国が被害を受けるんじゃないのか?」
「だからって戦力を投入したら後で何を言われるかわかったものじゃないし……それでもしも倒せなかったら、一番肝心な自分の国を守るための戦力が減るんだから迂闊な事は出来ないよね」
自分の領土の上で戦うよりも、もっと違う場所を戦場にした方が戦略上は良いんだが……それよりも自国の守りを固めた方が良いって判断に行くのは不思議な話でもないな。
「ベストなのは、自分の国で起きた不始末は自分の国の力で解決するって決着か。武器の提供くらいはするだろうが……それでどうにか出来るなら都心部まで襲撃されるなんて事にはなってないか」
「色々遅すぎたって事だね。辺境の地で魔物が増えて来ているって報告を受けた時に領主様がちゃんと対処していれば……農村を見捨てるにしたってその後すぐに討伐隊を編成して向かわせていれば……被害は最小限に抑えられたかもしれない」
倒せる規模の内に倒してしまえばそれで全て解決したのに、問題を放置して手が付けられないレベルになるまで悪化させてしまい、結果として壊滅寸前まで追い込まれると言うのは頭を抱えるしか無いな。
「いつでも対処出来ると思って油断してたわけだな」
「それで取り返しのつかない状態になっているんだから話にならないよね。後は……王族や貴族が財産を持って安全な国へ逃げ出して国が滅びるお決まりパターンだね」
確かにそうなったら解決出来る問題も解決出来なくなるな。典型的な自分で自分の首を絞めるタイプの行動だ。……とは言っても、自分の身に本当に危機が迫っているのだとすれば、その者には強いストレスがかかり、その心理状態は闘争か逃走かの二者択一になっているハズだ。早い段階で闘争を選ぶ事が出来れば問題を解決する事も出来てストレスの原因も取り除けたのだろうが……中途半端な対応をし過ぎたようだな。




