護衛も効果的ではない
「あい路か……確かにあい路で待ち伏せ、あい路を通ってるところを襲撃というのは戦術の中でもセオリー中のセオリーの一つだな」
あい路という地形的な特性を利用して戦うというのは、特に少数の戦力で多数の戦力を相手にする際に用いられる戦術だ。あい路で待ち伏せすれば、敵は兵を横に並べて進む事が出来なくなるから、極端な事を言ってしまえば、一列になって並んでいるのを先頭から順に勝ち抜けで倒し続ければ理論上全ての敵を倒せる理屈になる。
「問題なのはその戦術を狙って実行している事なんだよね。知能も高いし数も多い……そして何より集団で行動している」
「単に知能が高いってだけじゃなくて、社会性もあるって事だな。被害に悩まされてるって事は、今も危険を承知でそのあい路を通ってるんだな?」
「他の安全なルートを通ろうとすると、道のりが長くなるからね。そんな事になったら交易の頻度は減る上に、物価も高くなって……やっぱり交易の頻度が減る事に拍車をかける事になるよね」
まあ、利益を考えたら輸送コストは下げたいよな。
「討伐したいところだが……難しいのだろうな。積み荷の護衛で人を雇った方が安く済むか。それでも被害は食い止められないわけか」
まあ、被害が無くならない以上、護衛を雇っても守り切れてないって事になるが……しかし、護衛の数を増やしても、そもそも動き辛い場所で襲撃しているのだからそれほど効果的とは言えないだろうな。




