迂回は出来ない
「まあ、それで済むならそれで終わらせちゃうだろうね。実際に討伐隊は結成せずに見張りとか行商人を護衛したりとかで何とかしてるのが現状だし」
「そりゃあ、相手のホームに襲撃を仕掛けるなんてリスクが高いからな」
「ただ、一部の村……というかある特定のルート上にある村とかでは割と深刻な問題になってるみたいだけどね」
「行商人がモンスターの被害に遭っているのか?」
ルートというのは基本、人や物が行き来するための通路の事を指す言葉だからな。そこに問題が発生しているという事は、行商人か旅人が被害に遭っている事が予想出来る。
「そうだね。しかもその襲撃してくるモンスター……魔物って言うのが厄介でね。高い知能を持っている上に群れで行動するせいで、対策が難しいって話だよ。特にちょっとしたトンネルだとか、谷とか崖とかであい路になっているところで襲われる事が異常な程多くなってきているみたいだよ」
あい路と言うのは、狭くて通行が困難な道の事だな。しかし重要なのは、困難と言うのは出来ないという意味では決してないという点だ。そのあい路を通るか通らないかで全体の道のりの距離や険しさが大きく変化してしまうのであれば、趣味だとか他の何らかの目的がある旅人はともかく、利益を追求する職業である行商人はあい路を迂回するという選択肢は取れなくなるだろうな。




