殲滅しても……
「まあ、それだけ殲滅は難しいって事だね。それに、仮に殲滅出来たとしても、その後も大変だしね」
「その後? 殲滅したらそれで終わりじゃないのか? ……いや、放っておいたらまたモンスターの住処になるのか」
本格的なダンジョンの探索かと思ったが、倒しても倒しても時間が経ったらまた増えるというのが殲滅の難しさだからな……それは極端な事を言えば、ゼロからでもまた元の数字に戻りかねないという事だ。これは何もないところから突如として発生しているとかそういう話では無く、空っぽのダンジョンであってもそこにモンスターが辿り着いて住み着いてしまったら、またモンスターが大量繁殖する事になるという意味だ。
「そうだね。出入り口を完全に封鎖し続けないと、またいつモンスターが住み着いて周辺に被害を出し始めるかわからないからね」
「殲滅そのものが難しいのに、その上さらに空っぽになったダンジョンの警備なんて……まあ、よほど人の住む場所のすぐ近くにでもない限りは見張りなんて置いておけないだろうな」
ダンジョンにモンスターが再び住み着いたらアウトと考えると、この出入り口の封鎖というのは四六時中年中無休で続ける必要がある事になる。まず実現は不可能だろうな。
「……で、見張りがいないとまたいつモンスター達が繁殖するかわからないから、定期的に巡回する必要が出て来るんだけど……じゃあ、一年や二年で大量に増えるかって言われるとそんな事は無いんだよね。どう考えたってもっと長い年月が必要になる。そしてダンジョンの最深部に潜んで住み着かれたら……十年後にはまた手の付けられない魔の巣窟に変貌しちゃうんだよねこれが」




