隠れて生きる種
「侵入か……なるほど、ちゃんと撃退出来れば問題無いわけか。中を知られないんだからそれはその通りだな」
「まあ、その知られるってのもどこまで知られたらマズいかは意見が分かれるところではあるんだけどね。栄えてる街並みを見られた時点でアウトなのか、すぐに衛兵が来て追い払う事が出来れば問題無いのか……」
確かにその点は断言出来ないな……? 栄えている街並みを見た時点で魅力的に映るのであれば、その後も執拗に狙って来そうとも思えるが……それなら立派な城壁を見ただけでも同じ事を考えそうなものだ。そして、すぐに衛兵が駆けつけて退治するのであれば、侵入者は中も外も危険だと判断して敬遠してくれるようになってくれるかもしれないな。
「見られた時点でアウトなら城や城壁を見られたらアウトな気がするがな」
「もしもその時点でアウトなら、人類は自らの権威を誇示する事なくモンスター達から隠れて生活すべきって事になるね」
「現代なら隠れて生きよってスローガンで済む話かもしれないが……有史以前だったらそういう生態じゃなければ生き残れなかったって時代もあったんじゃないか?」
「それは……あっただろうね。実際にそういう生態のモンスターもいるし」
「隠れて生きるモンスターもいるのか……まあ、いるか。擬態なりなんなりで外敵に見つからないようにして生き残った種がいても何らおかしくは無い」
周囲に擬態して身を守る生物なんて探せばいくらでもいるしな。当然その生存戦略はモンスターにだって適応出来るわけだ。
「いや、そういう擬態とかそういう話じゃなくて。……まあ、そういう生態のモンスターもいるんだけど……そういうのじゃなくて、洞窟の奥とか、ダンジョンの地下深くとかを好んで住むモンスターがいるって話。人類が高いところを好むのと同じ感覚で地下深くを好むんだって」
そんなのがいるのか……いや、それもそうか。地下深く程強力なモンスターがいたりするもんな。ヒエラルキーが下に行くほど強い種もいるか。




