水際作戦
「普通は守りが厳重な拠点を襲撃して撃退されたモンスター達は二度と大きな街は襲わなくなるものなんだけど……一度でも大きな街にはたくさんの食料があるって事を学習すると何度返り討ちにされても襲撃するようになっちゃうんだよね」
「リスクに見合うだけのリターンがあるって事を理解しちまうわけだな? まあ、息の根を止めない限りは襲い続けるかもな」
こればかりはどうする事も出来ないな。
「一個体だけで行動するモンスターに限定するならそれで解決するね。ただ……厄介なのが社会性を持ったモンスター達でね。最悪なのが他のコミュニティと知識を共有する場合があり得るって事なんだよね」
「群れで行動するモンスターか……そいつらが他の群れとも盛んに交流していると考えると、かなり厄介な事になりそうだな」
縄張り争いになるから狩場を教えるって事は無いだろうが……逆に守りが厳重な拠点だとか、護衛やら警らが頻繁に出歩いている人間の交通ルート等の自分達にとってリスクになりうる情報を互いに交換している可能性が高いと考えると、かなり凶悪な集団にまで成長しかねないな。
「だから社会性の高いモンスター達は可能な限り末端の村の水際作戦で撃退すべきとされているね。万に一つ栄えた都市部への侵入を許した上で逃げられたら……大変な事になると言われているね」




