数か寿命か
「まあ、空を飛ぶなんて事が気軽に出来るなら皆やってるだろうからな……単純に自分と同じ体重を空中に浮かせ続けるなんて、生半可なエネルギーじゃ実現できない」
これが虫のように小さく軽い生き物なら空を飛ぶために必要なコストも安く済むのだろうが、ある程度の大きさや重さになったらまず実現は出来ないだろう。
「まあ、生存競争で考えたらハイリスクハイリターンな生き物だよね」
「ハイリスクハイリターンを種の単位でものにする方法はただ一つ、試行回数を増やす事だけだ。そして試行回数を増やす方法は二つに一つしかない。個体の数を増やすか、寿命を延ばすかだ」
かなり雑な計算ではあるが、1%の成功率をものにする方法は挑戦者が百人を超えるか百回以上挑戦するかのどちらかが確実だ。つまり個体数が多いか、何度も同じ事を繰り返せるほど寿命が長いかのどちらかさえ満たせればハイリスクハイリターンは戦略的に有効になるわけだ。後は……そもそも上振れを引かなきゃ絶滅するとかそういう場合だな。
「虫は数で勝負してるわけだね。ドラゴンは……強靭な生命力で多少のミスは無かった事に出来るわけだね」
「一発デカいのを当てれば今までの失敗はチャラに出来るってわけだ」
まるでギャンブラーだな。




