共通の祖先
「骨格が根本的に違う以上、別の生き物と考えるのが普通ではあるな……」
いくら外見に共通点が見られると言っても、体の内部構造が違うんじゃそもそもの成り立ちからして違うものだと考えるのが普通だな。逆に言えば、外見はそれほど変化していないのに骨格や内臓の位置が変化するなんて進化の仕方があるのかって話になるしな。
「まあ、狭義のドラゴンと広義のドラゴンとの間にミッシングリンクがある以上はどうしようもないね」
「……それ、意味合ってるのか? ミッシングリンクって中間の生物に対して使う言葉だよな? それだとドラゴンからワイバーンに進化したか、ワイバーンからドラゴンに進化したかって前提で話している事になるぞ?」
ミッシングリンクは要するに存在するはずなのに未だに発見されていない化石の事を指す言葉だ。サルから人間に進化したなら、サルと人間の中間と言えるような生物が過去に存在しなければならない。それが何故か発見されていないって話だからな。
「それは……言葉の綾って奴だね。ドラゴンとワイバーンの間に繋がりがあるって話じゃなくて、その二つに共通する祖先がいるって話だよ。要はサルと人間の間に中間進化があるんじゃなくて、それぞれサルと人間に分岐進化したハズの生物がいるハズって事だね」
まあ、一般的に語られている『サル』って言葉は今現在生きているサルに対して使われる言葉だからな……何百万年も昔に棲息していたサルの祖先に対して、『サル』って単語で表現するのはかなり危うい。何百万年も昔の類人猿が現在のサルとほぼ同じって、それはそれで逆におかしな話になるからな。




