都合が良すぎる進化
「理論上は魔力を貯めやすいって事か……明確に活用方法があるから退化しなかった……いや、そうなると角や牙以外にも使用せざるを得ない事情があるって事になるな……」
一瞬、狩りに使うのだから退化するハズがないと思ってしまったが、角と爪と牙の三つ全てに明確な用途があるというのも変な話だ。特に角なんかは役割があるようには思えない。
「そもそもワイバーンなんかは後ろ足の爪に魔力が宿るから魔法の使い方で骨格が変化したって説は成り立たないと思うよ」
「まあ、無理か。そもそもその場合、ドラゴンの骨格が元々腕が四本無いと成立しないな」
足が合計で六本となると、それこそ虫という事になってしまう。しかし、虫に骨格なんてものは存在しない事を考えると、やはり関係無いと考えるのが妥当だな。それに虫は六本足に加えて翅が生えてるしな。
「絶対に無いとは断言できないけど、それって要するにエビやカニのハサミが四本あるみたいな例えだよね? 四本腕は淘汰されたけど、腕と翼に分かれたら環境に適応したって言うのは……ちょっと都合が良すぎるかな」
正確には、腕と翼に分かれたら環境に上手く適応出来た事が都合が良いのではなく、その後で腕か翼の両立をするのは無意味という事でどちらかが退化する事なく生態系の頂点にいる事の方が都合が良いという話だな。




