不自然な骨格
「羽毛って……ドラゴンって羽毛は生えてないのか?」
「種によるね。一般的には生えてないけど、毛や羽が生えているドラゴンもちゃんといるよ。そもそも定義が骨格基準なんだから羽毛の有無はほぼ関係無いね」
「見た目の問題なのに定義は骨格が基準なのか……」
「それは、いかにもドラゴンらしいドラゴンしか認めないって派閥が存在するからね。いわゆるワイバーンって名称を広めてドラゴンとは別種だと主張する人達も確かに存在するね」
原理主義的というか、拘りが強い連中もいるわけか。
「まあ、骨格が根本的に他の生物とは一線を画している時点で何らかの神秘性を感じる奴らが出て来るのは無理も無いか」
「そうだね。前足、羽、腕って言うのはルーツは同じでどれか一つにしかなりえないって言うのが常識なのに、その常識を覆す存在だからね。どうしてドラゴンだけはその骨格なのか、それともどうして他の生物はそんな骨格にはならなかったのか? 永遠の謎だね」
まあ、普通に考えて羽か前足か腕か、どれか一つで良いからな。リソースが限られている以上はあれもこれも持ったところで淘汰されるのがオチだろう。そういう意味では不自然な骨格を持った上で君臨しているドラゴンという種は、ある意味で他の追随を許さない隔絶された種と言えるのかもしれないな。




