見ただけで特定は不可能
「地中に埋まってる根っこは……燃えないか」
いくら植物とは言え、土の中に埋まっていたら酸素が無くて燃えないだろうな。
「それどころか、魔力に反応して何かやってくるかも」
「その理屈で言うと、召喚した瞬間にも何らかの反応を示すかもしれないが……?」
「かもね。だけど、根っこくらいなら何とかなるんじゃないの」
まあ、植物の根と考えれば何かやって来たとしても、反射的な行動にしかならないだろうからな。ミーシャが何を召喚するのか、ピンポイントで特定でもしていなければ天敵なんて用意出来るわけがないな。
「お前の召喚するモンスターと相性が悪いとかは無いか? 要するに召喚の魔法陣を見た事で何を召喚するつもりなのか特定されて、対策を打たれたって可能性は無いか?」
「それは……考えにくいね。不可能じゃないけど……同種のモンスターと召喚の契約を結んでいるとか、そういった被りでもなければ魔法陣を見ただけで何を召喚するかなんて、桁違いの知識量でも無いとわかんないよ」
「大まかな種とか、そういうのもわからないのか?」
例えば鳥とか、獣とか、そういう大雑把な括りで把握したりとかは出来ないのだろうか。
「無理だね。むしろそんなのに法則性があったら生物の分類なんてとっくの昔に完了しているよ」
「なるほどな……確かに生物学上の分類なんて、人間が勝手に分けているだけで、それが召喚魔法の影響を受けるなんてのは不自然な話だな」
もしもそこに規則性が無いのだとしたら、魔法陣の特定は殆ど丸暗記するしかないという話になってしまうな。見ただけで特定というのは不可能という事か。
「魔法陣に人間側の影響が色濃く出るという事は、それだけ人間側の方が有利に契約を結べてるって事だからその術者の実力はかなりのものだろうね」
「お前がその人間側に寄った魔法陣って事は……」
「無いよ。残念だけどね」
まあ、そんなに自分に有利なら、召喚でここまでてこずってるのもおかしな話になってしまうか。




