この場から離れられない
「遠距離からの攻撃と言い、さっきの攻撃と言い、ミーシャ狙いのものが多いな……まさか、同一人物か……?」
「その場合、相手は魔法より早く俺達に近寄っている事になるぞ?」
決してあり得ない話では無い。あれだけ派手な魔法なら周囲からの注目を集める。その視線誘導こそが目的なのだとしたら、やる価値はあるだろう。
「そうなると、違う魔術師か……そんな機動力と射程距離を併せ持つならもっと遺憾なく発揮しているだろうからな。仲間か、それともまた違うチームが私達を発見したのか……」
「どちらにしても、このまま攻撃は続く。魔法の撃ち合いじゃこっちの手が足りん。……が、安易に突撃すれば別のところから攻撃が飛んで来るかもしれん」
「手を貸したいのはやまやまだが、上空から降って来る魔法も無視は出来んぞ?」
確かにあの魔法も迎撃せねばならん。それは別の言い方をするなら、オリヴィエは確定でこの場から離れる事を意味する。ここからさらに俺まで場を離れるとなったら……ミーシャを守る奴がいなくなる。それを良しとするなら、そもそもミーシャには召喚魔法を中断してもらって別の場所で仕切り直ししてもらった方が良い。
「どう考えても、俺がこの場を離れるわけにはいかないというわけか」
「それまで撃たれ放題というわけだな? そして、私が無事遠距離魔法の迎撃に成功したとしても、すぐさま二の矢三の矢が飛んで来るわけだ。それまでに召喚魔法が完了するかどうかだな」
とりあえず召喚が終われば、ミーシャはこの場から動く事が出来るようになる。そうなればこっちからも取れる手は増える事になるな。
「それは……何とかなるかな」
「召喚が完了した時点でこの場から動けるか? あの茂みに隠れてる奴は倒さんとな」
「あ、それは大丈夫。召喚が終わったらすぐにでも突撃するつもりだから」
それなら問題は無いか。という事はやはり、ミーシャが召喚を終えるまでの間に来る攻撃を捌き切る必要があるわけだな。




