オリヴィエはバレていない
「百点なんて言う極端な得点設定が単なるジョークやヤケクソでもない限りは、何らかの意味を持たせて来るハズだ。つまり得点や順位が次の競技に何らかの恩恵をもたらすって事だな」
「これで何も無かったら趣味が悪いな。普通の大会なら笑い話で済むだろうが……火霊祭となれば批判も免れないだろう」
「そこまで心臓強くねえか」
後でこの極端な得点の設定に何か意味があったのか質問された際に『何も無い』と答えられる度胸があるか無いかで考えれば、無いだろうな。
「だとすれば、より多くの得点を集める事に何らかのメリットがあると考えるのが妥当だな。私はこの競技において最大優先順位のターゲットと言うわけだ」
「ワンチャンあるとすれば、お前の顔を知らない選手がいるって可能性くらいか……しかし、顔写真くらいは渡されるか……? そうでなくても、お前の事を知らない選手がどれだけいるかもわからんし……全員把握していて、大半は積極的に狙って来ると考えた方が良さそうだな」
正直、オリヴィエとの戦闘を避けようと判断する選手はかなり少ない事が予想出来るな。この競技を手堅く突破しようと考えている選手くらいだろう。
「しかし、流石の一流魔術師達であっても人探しは得意と言うわけではないというのがせめてもの救いだな。現に私の居場所はまだ発見されていないわけだしな」
確かに……ここへ向けて撃たれている遠距離攻撃は、オリヴィエを狙ったものではなく、恐らくはミーシャの召喚魔法に対してだ。オリヴィエは競技が始まってからそこまで大掛かりな魔法は発動していないから、他の選手達の探知に引っかからずに済んでいるのだろう。
「カタパルトの発射は……お前の魔力に依存していないよな? それが原因でお前の居所がバレる心配は無いか……とは言えだ。あのデカい火球を迎撃した時点でバレるよな? そこから集中砲火を浴びるとして、逃げ切れる自信はあるのか?」
超上空での出来事という事になるから、空中にいるオリヴィエに攻撃出来るのは遠距離攻撃持ちの選手だけか? しかし、いくらオリヴィエだとしても、いつまでも空中を飛び続けるなんて事は出来ないハズ……着地を狙われたらどうしようも……そこは俺がカバー出来るか……?




