稀なパターン
「本当にダメージを受けないのではなく、何らかの方法でダメージを帳消しにするわけか。やはりそっちの方が楽なのか?」
「まあな。一つの魔法に複数の効果を付与する難易度に比べたら、どうしたって対策となる別の魔法を複数併用する事の方が難易度は下がる。それこそ耐火性の手袋をつけているだけでも大分違うからな」
防具で自分の受けるダメージを軽減するのか。まあ、当たり前と言えば当たり前の対策だな。
「手袋一つである程度の対策が出来るなら、わざわざ高等技術が必要な魔法を習得するメリットは薄いか」
「ああ。火属性なら四六時中常に炎を身にまとうくらいの戦闘スタイルでもない限りは釣り合いが取れるとは言い難いな」
「まあ、いてもおかしくは無いが……見た事は無いな」
「だろうな。そんな戦い方をする魔術師はかなり稀だ。魔力の量から考えても魔術師としての技量から考えても、明らかに頭一つ抜けたレベルにいるからな。そこまでの技量があるなら、真っ当に距離を取って魔法を連発した方が普通に強いだろう」
もっと効率的な戦い方を選んだ方が良いわけか。
「わざわざハンデを背負っているって事か?」
「そう捉える事も出来るな。他にも個人的な好みだとか、拘りでその戦い方を選んでいる者もいるし……また、このレベルだとかなり稀な話ではあるが、そもそも射程距離が短すぎてまともな魔法の選択肢が存在しないという魔術師も中にはいるぞ」




