需要はまだまだ尽きない
「自分の身を守るためなら、多少はコスト度外視でも作る価値はあるのだろうが……目的を達成するための手段の一つとして考えるとな」
自分の国が滅ぶという出来事の価値をマイナス無限と解釈するなら、コスト度外視で最終兵器を作る意味はある。……が、他の国を侵略するという目的を前提に考えた場合、コスト問題は途端に無視出来ない問題に変化する。侵略する事が目的の第一義で、それ以外に何目的が無いのであればなるほど、コストは度外視出来る。……が、実際はそんな事があるハズがない。普通に考えれば侵略は目的では無く、目的を達成するための手段のハズだからな。夢みたいな目的や目標を掲げる事は出来ても、非現実的な手段を用いる事を選ぶ事は出来ても、それで本当に成功まで漕ぎ着ける事が出来るかと言われると……まあ、奇跡に期待する他無いだろうな。
「最終兵器を用いなければ解決しない問題となると、かなり限定されるだろうな」
「やはり売るなら消耗品に限るというわけだ。一生ものの商品なんて売ってたら、人類が増殖し続けない限り破滅する未来しか待っていない」
まあ、金を稼ぐと言う一点だけで考えるなら大量生産の大量消費が一番効率が良いだろうな。
「だから普通の武器ってわけか。この世にモンスターという危険がある限りは需要が尽きる事も無く、供給させ続ける事が出来るわけだ」
「ああ。人が欲しがらない物を作っても売れる道理は無いからな」
確かにオリヴィエの言う通りだな。自分の欲しい物や必要な物だったら作る価値はあるだろうが、自分でさえ欲しいと思えるような物で無かったらそれはもはや作るべきでない物でしかないからな。
「……まあ、上澄み中の上澄みとは言え、個人でこれだけの攻撃を仕掛けて来る奴がいるんだから、より強力な武器や防具の需要はまだまだ尽きる事は無さそうだな」
というより、人間一人一人の個体差が開きすぎていて武器や防具の需要が尽きる事が本当にあるのか疑問に思えるほどだな。




