金と時間がかかる
「なるほどな。大砲を微調整するんじゃなくて、弾丸の方が相手に向かって自動で追尾しながら着弾するように作られるのか……完成したら時代が変わりそうだな」
要するに誘導ミサイルみたいなものだからな。
「まあ、現状では一発の弾丸を作るのにどれだけの金と時間がかかるのか見当も付かないがな」
「一撃必殺の破壊力があれば元は取れると思うが……」
「それでは結局のところは最終兵器であって一般兵器じゃない。商品として世界中に売り捌くなんて条約的にも需要的な意味でも商売にならん」
確かに最終兵器を他国からの輸入に頼る事を良しとする国は少なそうだな。国の規模が大きくなればなるほど自分の国で作ろうという論調になるだろう。
「まあ、最終兵器なんて何個も持っていても良い事は無いだろうからな」
「ああ。欲しがる国も少ないなら、実際に金を払える国なんてもっと少なくなる。そんな、本当にいるのかどうかもわからん者を相手に商売は出来んな」
それこそ売った後で自分達に使われる可能性もあるわけだからな。
「需要が無いんじゃ売れるわけも無いか。法的に売る事が出来ないって点を踏まえて考えてみてもな……」
「万に一つ、本当に買ってくれる者がいたとして、そいつらでさえも一度の取引で終わりだからな……」
金と時間をかけて作った物が見向きもされないとなれば、やはり商売として扱う物では無さそうだな。




