迎撃手段の変更
「……当たってないな」
「見ればわかる。タイミングを変えるか……」
そう言いながらオリヴィエは再び頭上に炎の弾を……今度は四発出現させ、上空へ向かって発射した。
「ん? おいおい今度は届いてないぞ?」
「チッ、やはり遠距離は安定せんな。……面倒だ。降って来る火の粉は直接振り払う」
オリヴィエは巨大なランスを二本持ち、近くの大きな木に設置した装置へ向かって踵を返す。
「空を飛んで直接迎撃するつもりか?」
「いくらあんたでも、そんな事したらバテるんじゃないの?」
「だからこの装置を使う。カタパルトの要領で私を上空まで射出し、後は私の魔法を推進力にして軌道を修正する」
あのランスは確か、空を飛ぶのに必要だって言ってたな。
「なるほど、上昇に必要なエネルギーは外部の装置で賄うのか」
「ああ。飛行で最もエネルギーを必要とするのが加速……特にスタートだ。その初速をカタパルトで出力する事で加速と上昇と言う最大の消耗を抑える」
確かに物理法則で考えれば重力に逆らって加速するのは莫大なエネルギーを必要とするのは自明の理だ。逆に言えば、そこさえ何とかしてしまえば、その後の飛行は比較的少ないエネルギーで実現可能だろう。それこそ高ささえ確保する事が出来れば、後はグライダーのような動力源を持たない翼でも飛行は可能だ。……もっとも、オリヴィエのあの装備が航空力学的に適っているのかどうかはわからないが。
「上空へ飛び上がったらあれを迎撃して、戻って来るわけか」
「そんなもったいない真似はせん。せっかく上昇したのだ。そのまま上空から選手への攻撃を仕掛ける。それか……私と同じように空を飛んでいる者と空中戦をでもするさ。上空に浮遊されていては攻撃の手段が無いからな」
確かにこっちの攻撃が届かないくらい上空に逃げられたらなす術が無いな。逆に上空側からしたら物を落とすだけで強力な攻撃手段になりえる。一方的な攻撃だって出来るだろうな。




