烏合の衆
「どっちでも良い話だな。映像を見る限りではこいつらはこの競技を突破出来るような連中ではないだろう」
こいつらが戦っている様子はカメラを通して伝わって来る。お世辞にも整っているとは言えない連携で、恐らくだが、上位百人に残れるような戦い方だとは思えないな。
「まあ、統率が取れているようには見えんな。術者本人がどこに隠れているのかわからないから、温存しながら戦っていると言う見方も出来るが」
「温存が目的ならもっと戦いやすい場所で戦うハズだ。そうしないと言う事は、この辺りの地形を理解していないか、指示を出す者がいないという事だ」
確かにオリヴィエの指摘通り、モンスターから襲われているにしては場当たり的な対応をしているように見える。
「音声が無いからわからんが、確かに映像を見る分には指示を出し合っているようには見えないな」
「リーダー格がすでに脱落しているのか、それとも単に集まっているだけなのか……」
「どちらにしても、烏合の衆という事になるな」
とてもこの競技を最後まで生き残れるようなメンツでは無さそうだ。
「そんな連中が相手なら、私一人で十分だね」
そう言いながらミーシャは洞穴から出て行こうとするオリヴィエを止めながら自分一人で敵を倒すと言う宣言をする。
「今度は何を召喚するつもりだ? 魔力は大丈夫なのか?」
「魔力は厳しいけど、どうせこの競技が終わったら戦う事も無いからね」
どうやらミーシャは出し惜しみ無しで戦う様子だ。確かに明日以降の事を考慮して温存しなければならない選手と違って、この場で魔力を使い切っても良い審査官というのは、それだけでもかなり有利な立場にいると言えるだろうな。




