膠着状態
「派閥としてはその解釈で良いと思うが、トップ層なら変に徒党を組まずに単独行動に拘る選手もいると思うぞ」
「それはそうだろうな。人数が増えればそれだけ人に見られる危険性が増えるわけだからな。足手まといはいない方が良いと考える者もいるだろう」
「まあ、そこは人によるだろうな。それより、ミーシャの方で戦線が膠着しているようだが……?」
オリヴィエの指摘する通り、ミーシャが召喚したモンスターが相手選手を攻撃し、それを相手が迎撃するという形で一進一退の攻防を繰り広げている事が映像から見て取れた。
「……妙だな。最初の一匹は遠距離からの狙撃で一撃で落とされたと言うのに……」
「二発目を撃つのに時間がかかるのか、魔力の消耗が激しいのか。消耗戦になれば不利と考えているのかもしれないな」
「そもそも、私達の位置を探しているのかもしれないね。相手からしてみたら私が選手かどうかわからないハズだし」
なるほど、確かにミーシャの言う通りだ。あのモンスターがこの辺りに生息していない種なのはわかる奴ならすぐにわかる事なのだろう。だとすればあれが何者かが召喚したモンスターだという事もすぐにわかる事。問題なのは、誰が呼び出したものなのかという点だ。もしも徒党を組んだ相手ならこれはただの小手調べ……本格的な攻撃に備えて様子を伺うというのはあり得る話だな。
「だとすると……ここでオリヴィエが突撃するのは色々な意味で答え合わせになってしまうな」
「だね。得点が大きいから集中攻撃するかもだけど、高得点でこの競技を勝ち抜いてもそれでどんなメリットがあるのかわからないからね。むしろ他の選手から注目を集めているどさくさにライバルを倒そうとするかも……」
十分あり得る話だな。オリヴィエなら相手も無視は出来ないだろうし、何なら上位陣を倒してくれるかもしれない。様々な選択肢を残しておく意味でも、遠距離攻撃は控えているのかもしれないな。




