今後の趨勢
「内ゲバによる内部崩壊か……十分あり得る話だな。ほんの数時間程度の出来事であっても、格上を倒せる唯一のタイミングでもあるからな」
「まだ実力にバラツキのあるこのタイミングを逃したら、次は実力的に煮詰まって来た状態での蹴落とし合いだからな。そこで格上を倒すチャンスが到来するかどうか全くわからないのだから、出来ればここで博打を打ちたいだろうな」
終盤になればなるほど体力温存や出し惜しみをする理由は無くなって来るからな。
「問題は、それぞれのブロックにどれだけ向上心や野心のある選手が集まってるかわからないという点だな」
「普通に考えれば、百位以内に入る事を目標にしている選手が大半だろうからな。この競技の突破をただの通過点としか認識していない選手がどれだけいるのかという話だ。実際のところ、次を気にしなくちゃいけない選手ってのは五十位以内に入れるかどうかってレベルの連中だろう? どれくらいいるんだ?」
五十位以内に入れる見込みが無いんじゃこの競技で暗躍したり画策したりしても絵に描いた餅でしか無いからな。
「極論を言ってしまえば、運良く百位以内に入れた選手を除く全員がそれだ。恐らくだが、八割くらいは実力的に申し分無いレベルのハズだな」
「八十人か……仮にその人数が均等に割り振られていると仮定したとして、このブロックに十六人。このタイミングで蹴落とし合いをやってくれるならこいつらが一致団結する事は無いだろうから、主だった派閥は二つか三つになるか……」
実力が拮抗しているなら、二対一の場面を作る事が出来れば格上を倒す事もそこまで難しくは無いだろう。ましてや俺達審査官のようなのもいるとなれば、チャンスはさらに増える。つまり、トップ層はいかに俺達審査官と出会わずに他のライバル達と出会わせるかで今後の趨勢が決まると考えて良さそうだな。




