選手も同じ
「気を付けろよ。最初にカメラをぶち抜いて来た選手がどこかに潜んでいるからな」
様々な角度からあの場所が撮影されているが、最初にモンスターを倒した攻撃を仕掛けて来た魔術師の姿が確認できない。考えられるとしたら、完璧に姿を隠し切っているか、もしくは長距離から狙撃してきているかのどちらかだ。どちらにしても、不用意に姿を晒すのは危険と言わざるを得ない。
「その者がどこに隠れていて、どうやって攻撃を仕掛けて来ているのかを探るためにも私が出る必要があるだろう」
「それなら俺が出た方が良いだろう。お前は倒されたら百点なんだぞ? 言ってみれば最優先度の標的だ。全力の一撃を受ける危険性がある」
「そういう貴様は零点だろう。一瞬で逃げ出されるぞ。そして、ミーシャはモンスターの召喚がある。わざわざこの洞窟から出る意味は無いな」
倒すどころか、戦うメリットすら無い俺が相手では見つかる前に逃げられて終わりという事か。
「消去法でお前しかいないというわけか……」
「なに、心配するな。得点源である障壁発生装置はここに置いていく」
そう言いながらオリヴィエは障壁発生装置をテーブルの上に置く。俺やミーシャが選んだそれとは違い、オリヴィエが選んだのは腕輪程度の、最も小さなサイズだった。
「……装置をどこかに隠した状態で戦えると言うのは、本当にルール違反にならないか不安でならないな」
「ルールを確認する限りでは違反では無いな。そもそも放置するのだってリスクはあるしな」
「しかし、どこかに隠すのであれば、小さいサイズの方が単純に有利だよな?」
そしてそれは、選手の方にも同じことが言える。装置を地面の中に埋められたら、事実上の無敵状態になってしまう。そして一番最悪なのは、障壁発生装置が破壊されたと偽って他の選手からの攻撃対象から外れ、不意打ちを仕掛けられる事だ。こればかりは対策のしようが無い。まあ、破壊された装置を見せてもらうしか無いな。




