周辺の映像
「在学期間中に論文を書き上げるってのは、現実的じゃなさそうだな」
「ああ。基礎知識からそもそもの研究期間から考えてまず間に合わないな」
「先生が行っている研究の手伝いとかか? 出来るとしたら……」
「確かにそれなら可能だとは思うが……わざわざそのために魔術科一組に編入させるのはありえんな」
確かに研究の助手なら、わざわざクラスを限定するのも変な話だな。そんな事をするよりも、外部から人を雇った方が守秘義務の観点から見ても妥当だろう。
「……道理で生徒数が少ないわけだな」
「ああ。入学した時点で専門的な知識があるのが前提という事になるからなその場合。その上でさらに専門の研究をやらせるなら……もはや生徒として招き入れる事自体がおかしな話になる」
「専門家として雇った方が良いって事か」
「そういう事だ」
まあ、そこまでの天才なら他の学校からだって引く手あまただろうからな。入学してくれるのを待ってるよりもいっそのこと雇った方が良いって話になるだろうな。
「そんな事より、もう飛び立たせて良いよね?」
「……カメラは?」
「配り終えている。映像は……ごちゃごちゃしててわからんな」
カメラはすでにモンスターに装着されており、水晶はカメラの映像を映し出していた。……とは言え、虫が密集しているわけだからか、映し出されている映像は何が何やらわからないものであったが。
「実際に飛ばしてみないとわからんな……」
「じゃあ、飛び出させるよ」
そう言いながらミーシャは召喚したモンスター達を洞穴から飛び立たせた。羽音を立てながら勢い良く飛び立ったモンスター達から送られてくる映像からは周辺の情報が読み取れる。どうやら現在進行形で戦闘を行っている選手は近辺にはいない様子だ。しかし、戦闘を行っていたであろう痕跡はところどころから見て取れた。




