夢のまた夢の話
「ああ。元々栄えている土地に首都を移動させるのであれば、必要最低限なものだけ運べば良いだけの話だ。この研究で考えられている都市部の転送の目的は物流改善のために行われている」
「物流の改善だと?」
「要は交易ルートを一から引き直すために各都市の位置を調整するのが目的の研究だ」
物流の効率を良くするために都市の位置を調整するって事か……!? そんなゲームじゃねえんだから……だいたい、そんな事を国全体でやったら内乱待った無しになるぞ。
「仮に万に一つの確率でその研究が成功したとして、誰がどんな権限で交易ルートを引き直すんだ?」
「知らん。世界中の国々で集まって会談でもするんじゃないか?」
「世界中の国々……? まさか、国内とかじゃなくて世界規模で都市の位置を変える計画なのか……!? 無茶苦茶だろそんなの……!」
まあ、交易ルートの効率を改善するって話なんだから、相手国の位置関係も重要になってくるのはわかるが。
「ああ。普通に考えれば夢のまた夢な話だ。そもそも場所の入れ替えを行っている時点で誰かしらが損をする可能性はあるからな全員を納得させるか、もしくは従えさせるしかない」
「従えると言うと……武力制圧か。独裁国家じゃなきゃ反乱が起きるぞ……いや、独裁国家でも反乱は起きるか……」
「後は、侵略した国から土地を引っ張って来るって方法だな。そんな真似をされたらどこの国だって亡びるまで徹底抗戦に陥る危険性もあるが……資源争いならそこまでする国が現れてもおかしくはあるまい」
都市をインフラ含めてそっくりそのまま転送するとかではなく、鉱山等の資源の眠っている土地をそのまま自国の領土まで引っ張って来るって事か……? それとも自国の領土にあるのを採掘しやすい場所に移動させるとかか?




