授業で教わらない範囲
「……まあ、原理はわからなくてもとりあえず成り立ってるからセーフって事なのか……?」
どう考えてもいつかとんでもないしっぺ返しが来そうな話でしか無いが。
「そりゃあ、成り立たないならそもそも召喚出来ないんだからアウトの召喚方法が無いって事になるね」
「そもそも結んだ契約に違反出来ないって事か?」
「そうだね。召喚条件を全て満たしてから召喚になるから、召喚した後で何かする必要は無いよ」
「それ……召喚された側が契約に違反するとかは考えられてないのか?」
召喚する側の方が色々と制約が厳しいのは何となくわかるが、される側だって何かしら守るものがあったりするんじゃないのか?
「いや、召喚魔法は召喚した時点で魔法としては完結しちゃってるから、召喚した後は完全に自己責任だね」
「呼び出した後は自己責任なものを律儀に条件守って召喚するのか……? 何と言うか……割りに合ってなくないか?」
「そんな、人生で一回か二回くらいしか召喚しませんって人みたいな事言われてもね……普通は何度も何度も召喚するものだよ?」
なるほどな。普通は何度も召喚するのか。まあ、それもそうか。それじゃあ人生の大半で魔法を使わないのにも関わらず学校に通ってその魔法を勉強している事になるからな。
「確かにそんなに発動頻度の少ない魔法なんだったら、じゃあ学校で何を勉強してんだって話になるな」
「学校の勉強は普通の授業だね。魔法は殆ど独学になっちゃうからそっちが思ってる程特殊な授業とかは無いよ」
「なに? そうなのか?」
「うん。だって、うちのクラス自体が六人しかいないし……」
「そんなに少ないのか!?」
それは初耳だな……まさか一桁の人数しかいないクラスがあったとは。
「うん。普通は基本魔法を勉強するための学科に行くからね」
「特殊な系統の魔法は基本独学になるからあのクラスに入る意味があまり無いわけだ。私だって空間魔法は独学に割り切って武術科に入ったしな」
そう言えば入学してから空間魔法について勉強した事は一度も無かったな……そもそも授業で教わらない範囲だったのか。




