意思疎通
「カメラか。確かにあるが……」
ミーシャからの提案に対し、オリヴィエはおもむろに次から次へとカメラを取り出す。
「……よくもまあこんなに同じカメラを揃えられたもんだな」
「当然だろう。周囲の索敵は必須なのだからな。まさかモンスターに装着させるというのは予想外だったが」
「これを装着させて、ここから命令させたりするのか?」
「それは流石に無理。命令を伝える方法が無いからね」
なるほど、空を飛んで索敵しているモンスターを相手に意思を伝える方法が無いという事か。
「召喚魔法は召喚した時点で役割そのものは完了している事になるのか」
「そうだね。基本的にモンスターへの命令はちゃんとその子たちに伝える必要があるからね。そもそもの話、召喚と使役は別ものだし」
確か……召喚魔法は召喚するのが目的の魔法で召喚した後の事はまた別の問題になるんだったか。
「こいつらがお前の言う事を聞いているのは、事前に契約を済ませていたからって事か」
「そういう事」
「こいつらと意思疎通が取れるって事か? ……契約って事は言語の概念があるって事か?」
契約と言うが、ミーシャからの命令に従うって事は、その言葉の意味を理解しているって事だ。それだけじゃない。当然の事ながら、誰が命令を出しているのかも理解している事になる。
「……まあ、具体的にどんな文法で会話しているのかは知らないけど、人間の言葉を理解出来ているのは事実だね」
それはそうだろうな。犬のしつけレベルの命令なら条件反射なり何なりでまだ説明がつくが……明らかに言葉の概念を理解している。……と、言うより人間の話す言語を理解している。
「いったいどういう知能をしているんだ……? 紙とペンでも持たせたら文字でも書けるのか?」
「流石に文字の概念は知らないでしょ……知らないよね……? もっとこう……人の感情とか思考を読み取ってるんだと思うけど……」
それはそれで何か色々なものを超越していないか?




