帝国の問題点
「その話を聞くと、むしろ帝国は良く発展出来たものだな……」
「国の成り立ちからして違うからな。富を都に集結させる際に知識等の類も集める事が出来たとも言われているし、他の国の興りとその後の歴史を見てから建国されたから適応出来たとも言われているな」
なるほどな。確かに他の国の歴史を知っていれば、どんな社会問題を抱えているかもわかる。そういったものを知った上で国の法律や社会制度等をデザインして建国出来たのであれば、諸々の問題を克服した国家が樹立されるのもわからなくはない。……もっとも、それはそれでまた別の問題を抱える事になるものだが。
「過去の失敗例を参考にして国造りをしたのか。理屈としてはわかりやすいが、それで上手く行くほど楽じゃないだろう? 色々と別方向からの問題があるんじゃないのか?」
どんなに頑張ったところで理想国家なんてものを作れるわけがない。そんなものが作れるなら、とっくの昔に誰かが作ってるし、みんな理想国家を作ってる。
「問題は色々とあるな。本質的に軍事国家だから財政が悪くなりやすい傾向がある。これは予算にかかる軍事費を抑えれば解決するのだが……まあ、それが出来れば誰も苦労はしないという話なわけだ」
帝国の軍事費問題か……これは深刻な問題だな。オリヴィエの言う通り、軍縮するなりして費用を抑えれば解決する問題だとは言え、軍事力を持たない軍事国家ほど脆いものもそうは無いだろう。
「軍隊は生産能力を持たないからな……軍事力は持ってるだけで財政を圧迫するから可能なら軍縮を進めたいハズだ。……が、軍縮を進め過ぎると、今度は有事の際に対応出来なくなってしまう。下手すりゃ内乱や独立、革命まであるな」
王道と覇道の違いだな。武力による支配を認めているという事は裏を返せば武力による抵抗……革命を認める事になる。これを阻止するためには軍事力の保有が必要不可欠になるのだが……これによって軍縮が出来ずに財政がひっ迫し、国民の負担が増える。この負担が革命の機運になりかねなず、これを阻止するためにますます軍縮が出来なくなる。これの悪循環で崩壊した帝国なんて珍しくも無い。




