モンスターの知能
「仕事の求人って……ギルドにでも常駐してんのかこいつらは?」
まあ、日常生活をしている最中に突然召喚されるとかの不都合を考えれば、どっかで待機している奴らが召喚されるってシステムの方が双方にとって合理的ではあるだろうな。
「そういう集団行動を取る種族じゃないから、その手のコミュニティは無いんじゃないかな」
「じゃあ、その山のどこかに魔法陣が浮かび上がって、気が向いた奴が召喚されるってわけか」
「まあ、そんなにズレたイメージでもないのかな。ただ、どこかって言うよりは山全体に魔法陣が展開されていると考えた方が良いのかもね」
山全体……? 随分と範囲が広いな……そんなデカい範囲に魔法陣を展開したらそれだけでどれだけの魔力が必要か……いや、そもそも相手側に拒否権があるんだから言ってみればメールの一斉送信みたいなものか? まず最初に通知が届いて、その後のリアクションありきでの召喚ならそこまで変な話でもなさそうだ。
「山の中にいる全ての個体に応募をかけて召喚しているのか。椅子の奪い合いになったりはしないのか?」
「さあね。早い者勝ちなのかもしれないし、何かしらの優先権があるのかもしれない。細かい事は種によって異なると思うよ。ただ、一般的には知能の高い種族程、特定の個体を指名して召喚出来る傾向にあるね」
「そんなデータなんてどうやって集めるんだよ……」
「そんなのは簡単だよ。直接召喚したモンスターから聞けば良いだけだし」
なるほど、人語を話すモンスターを召喚して聞き出すわけか。それか、モンスターの言語の方をこっちで理解すれば良いわけだな。
「まあ、お互いに意思疎通が取れるモンスターなら知能が高いと判断しても良さそうだな。それで、召喚魔法の細かい仕様を確認していったわけか」
確かに知能の高い種族程、アイデンティティという概念が明確になってくるだろうから特定の個体との信頼関係も築けそうだ。




