魔法はイメージが重要
「……まあ、銃を構えて撃てと言われても目隠しなんてされてたらビビッて撃てないのが大半だろうな」
魔法を放つと言っても、その結果がわかるかわからないかはかなり話が違って来るからな。武器にせよ魔法にせよ、その危険性を理解しているならなおの事周囲の状況がわからない状況でむやみやたらには撃てないだろうな。
「それが正常な心理状態だな。外すだけならともかく、他の誰かに当たるかもしれないと考えたらまず撃てないのが普通だ」
「だから魔法で知覚出来る範囲を広げるわけか」
「ああ。それで取れる行動の選択肢が増えるのだから習得していて損は無い。……という理屈なのだが、どういうわけか空間を認識するための魔法であるにも関わらず、その範囲は五感に強い影響を受ける。正確には、五感の強化だとか、その延長線上にあるような発展のさせ方に偏ってしまうわけだ。例えて言えば、視力を強化する魔法は比較的簡単に習得出来るのに、背中に眼をつけるようなタイプの魔法には適正や才能といったものが必要になってくるわけだ」
五感を強化する事は簡単でも、五感から明らかに逸脱したような感覚を持つ事は難しいってわけか。
「既に存在すると言うか、身に着けている感覚器官を強化するのは簡単でも、新しく追加するだとか、全く概念的に異なるようなものを知覚するのは困難を極めるわけか」
「魔法はイメージ力が重要とされているからな。細かい匂いの変化も嗅ぎ分けるような鋭敏な嗅覚はイメージ出来ても、嗅覚で相手の顔を認識するだとか、そういう飛躍した事はまずイメージが出来ないだろうからな。一気に難易度を跳ね上げる事になるわけだ」
まあ、確かに匂いで顔を識別するって大分意味不明な原理の魔法って事になるからな……それを想像力で実現しろってのはかなりの無理難題だって事は容易に想像出来るな。




