五感は重要
「カーテン一枚か……そんなもので魔法が阻害されると思うと習得するのもむなしく思えるな」
「案外便利な魔法ではあるが……他の魔法との併用がほぼ前提条件になるからな……優先順位は確実に二番目以降になるだろうな」
まあ、周囲の状況がわかるようになると言われても、それを魔法を習得するというコストを支払ってまで実現したい理由はあるのかって話だからな。
「千里眼レベルで遠く離れた景色や出来事を見れるなら習得する価値もあるのだろうが……そんなものがおいそれと手に入るとは思えんからな」
「まあ、天才的な才能を持った上でかなり厳しい制約でも課さないと成り立たないだろうな」
「それこそその魔法で生計を立てるとか、そういう覚悟でも無ければやってられないものになりそうだな」
習得するまでの労力を考えれば、もっと効率的な選択肢は山ほどあるだろうな。
「本来サポート用の魔法を最優先で習得するなら、それくらい明確な用途が必要になるだろうな。間違っても何となくで学ぶ魔法では無い」
「お前も明確な活用法を持った上で運用しているわけだしな」
「まあ、言ってしまえば周囲の状況がわかるというだけの魔法だからな。それだけ知りたいなら別に魔法など使わずとも、その方向を見れば良いだけの話だ。そのため索敵魔法習得の目安は自分の視界よりも広い範囲を把握する事になる。例えば自分の真後ろだとかだな。……ところが、魔法と言うのは厄介なもので、五感で感じ取ったものの方が魔法を発動させやすいという性質がある。要は見えている的に向かって魔法を撃つのは簡単だが、見えていないと途端に命中精度が悪化するわけだ。極端な例を挙げれば、同じ位置に立って同じ場所にある的に向かって魔法を撃つ場合、目隠しをしているかしていないかだけで魔法の命中精度も、魔法の完成度そのものでさえも激変してしまう術師がいる。……訓練次第で軽減出来るがな」
……まあ、的の正面に立って的に向かって攻撃するってだけでも、それが見えてるか見えていないかで結構変わってきそうではあるな。




