可能性は一番ある
「あいつが誰と答えを合わせていたかは本人に直接聞くしかないだろうな。つまりこの競技が終わるまでわからんという意味だが……」
「それに、負けてたら聞くどころの雰囲気じゃないから勝ち上がって貰う必要もあるな」
いくら何でも敗退した後で聞くような事でも無いしな。
「上位百名の中に入るまで勝ち上がりか……」
「そんなに絶望的か? お前から見て」
「どう……なのだろうな? 普通に考えればまず無理だろうが……体力の消耗はほぼ無しの状態でこの競技に臨めているハズだ。競技のルールを考えるなら、この状況はフィリパにとってまさに千載一遇の機会だ。他に私が思い付く競技と比べれば、最も確率の高い競技になっているハズだ」
「突破しても驚かないくらいには可能性があるってわけか」
「ああ。これで敗退するようなら、どんな競技であっても敗退していただろうな」
ここまでは運が良いってわけか。まあ、運が悪かったらこの競技まで残ってないハズだからな。
「それなら、期待は出来そうだな。フィリパがどれだけ多くの敵を倒せるかは正直俺にはわからないが……逃げ続けるだとか生き残るだとかに関して言えばかなり有利だろう」
「起動力に優れているからな。どこか身を隠す場所を探し出して、とにかく生き残る事のみに集中すれば最後まで生き残ってもおかしくは無い。分身魔法を駆使すれば相手を翻弄出来るだろうからな」
「確かに、分身魔法はかなり有利な状況を作りやすいだろうな。守りに使えば敵に的を絞らせない効果があるし、攻めに使えば物量作戦で押し切る事も陽動作戦にも使える。遠距離攻撃の手段をあまり持っていない事がネックだが、そもそもあいつには索敵を行うための魔法が無いからな。あっても無駄と考えるなら問題無いだろう」
無差別攻撃でもない限り、位置を特定して攻撃を仕掛けるのは当然の流れだからな。索敵と遠距離攻撃の併用を考えると、中途半端に身に着けていなければかえって悪手を打たずに済むとも言えるな。




