噂すら耳にしない
「それだけ頑張って勉強してたって事だろ? ……いや、風霊祭に出ていた以上、火霊祭に向けた傾向と対策は両立出来ないか……? という事は猛勉強をし始めたのは風霊祭が終わった後……そんな僅かな期間で劇的に成績が上がるとも思えんから、やはり実技試験がずば抜けて良かったという事か?」
絶対にありえないとまでは断言出来ないが、限られた勉強期間でそこまで明確に成績が上がるという事は無いだろう。ありえるとしたら今までの勉強時間がほんの僅かで、大会へ向けて勉強時間が増えたとかだが……今まで勉強を殆どしてこなかったというタイプでもないだろうし、やはり実技の成績で稼いだ結果か。
「それ以外考えられんな」
「一応、念のため聞いておくが、今まで全然勉強してこなかった事が成績が悪かった原因で、勉強をし始めた事で一気に覚醒したって事は……」
「無いな。今までもちゃんと勉強はしてきていた。勉強法については知らんが……進学した途端、そんな優秀な教師に巡り合えたという事は考えにくいな」
そうか。高校に入学するまではオリヴィエも同じ教師から授業を受けていた事になるのか。まあ、家庭教師だとかそういうものを含めたら違う部分も出て来るだろうが……卒業や入学の前後で変わるような部分では無いな。
「そんな優秀な教師が偶然いたって可能性は……」
「いや……それはどうだろうな? いない事はないだろうが、そこまで優秀な教員がいれば噂くらいは耳にするハズだが……それに何より、そんなに成績が上がったなら、フィリパ本人からでないにしても、途中経過なりを私に伝えて来る者がいそうなものだ」
「……そもそも、フィリパが火霊祭に出るって話は事前に聞いていたのか?」
「ん? ああ、一応聞いてはいたぞ。もっとも、聞いた時は国内予選通過すら難しいと思っていたからそこまで詳しくは聞き返さなかったがな」




