有利な競技内容
「今年初めて大会に出場した選手が五百人の中で精々百人前後……そこからさらに残り百人まで残れそうなのは十人そこそこか。そんな中から単なる学生に過ぎないフィリパ達がこの競技を突破出来る確率は……確かに低そうだな」
「当然だろう。狭き門でなければ何の自慢にもならんからな。だが、まあ、競技の内容そのものはフィリパにとってはまだ見込みのある競技だと言えるだろうな」
確かに……容易く手に入るようなものなら何の自慢にもならないというのはその通りだな。
「敵を倒しながら自分は生き残る事を最優先とするなら……分身魔法を使えるフィリパからしてみたら有利な競技か?」
敵を倒すための戦術としても、敵からの攻撃を防ぐ防御としても逃走用としても分身というのは活用の場面は多いだろう。
「ほぼ理想的な競技内容と言えるだろうな。これで筆記試験などやらされていたら目も当てられん状態になっていた事だろう」
「そんなに筆記試験が苦手なのか? あまりそういう風には見えなかったが……」
苦手と言っても、オリヴィエと比較したらとか、そういうレベルの話なんじゃないのか? ……まあ、そのオリヴィエでさえも、この辺りのランクが相手だと頭脳面でも勝ち切れなくなってくると考えると、確かに勝ち上がる望みは薄くなってくるだろうな。
「そういう風に見えないというだけだ。実際は平均点に届くか届かないかくらいの学力しかないぞ」
「この大会で活躍するのを狙うには心もとない学力だな」
「むしろ国内予選を良くパス出来たものだなと感心するくらいだ。全てが実技試験なんて事にはならないだろうから、どこかで座学をパスしているハズなのだが……学生レベルで限定してもフィリパ以上なんてはいて捨てる程いるというのに、それでもパス出来た辺り、余程実技の成績が良かったのかそれとも勉強を頑張ったのか。驚きの結果としか言い様が無いな」
確かに国内予選だと、今日の大会のように一つの分野の才能に恵まれていたら突破の可能性も十分にある。……と、言うような試験にはしてこないハズだ。もっと総合力を重視する試験が行われたハズだからな。得意不得意がハッキリとわかれてるタイプにはハードルの高い試験になっている事は想像に難くないな。




