結局は才能
「今年から……か。今年は難しいだろうな。私が今この競技に出ている以上、他のブロックで戦っているフィリパの事は把握のしようが無い」
「次の競技に行くかもしれんだろう」
「上位百名の中に入れると言っているのか? そう簡単な話では無いぞそれは」
俺の言葉に、オリヴィエは驚いたように聞き返す。確かに、今戦っている連中の中で上位二割以内に入るだけと考えれば可能性は十分あるように思えるかもしれないが……問題なのはその百人と言うのが世界中から選りすぐりを集めた上澄みの中の上澄み達だという点だ。
「まあ、そもそもこの大会の上位百名の中にいったい何人の未成年が残るのかって部分からして興味深い話だしな」
「ああ。普通に考えて十人もいれば上出来と言ったところだろう。多い時は二十人程残る時もあるがな」
「一割前後か。まあ、そんなところかもな。……いや、むしろ多い気さえするな」
知識や身体能力を考えたら高校生の力量なんてたかが知れてるだろうからな。
「良くも悪くも才能が物を言う大会だからな。だから思ったよりも多いと思う事もあれば、逆に少ないと思う事もあるだろう。今の上位勢だって大半は学生の時代から頭角を現してきた者達が多いから、案外年齢なぞあてにならんとも言えるし……そんな手合いが何十年間も大会に出続けるのだから生半可な才能ではとても入り込めないとも言える」
単純に才能があるか無いかという話なわけか。確かにそれなら多い時と少ない時で二倍近い差が出てしまうと言うのも頷ける。
「才能のある奴同士が数十年間単位で蹴落とし合ってるわけか。確かに百人の中に入るのはかなり難しそうだな。今戦ってる五百人の中で、何人ぐらいいるんだ?」
「要するに五百人の中から百人を絞り込むこの競技を経験するのが初めての選手という事だな? 恐らくだが百人もいないのではないか? 百位以内に入れる者がある程度固定化しているのと同様に、五百人の中にだって似たような塊はあるハズだ。もっとも、そのレベルなら難無く通過出来るであろう才能の持ち主も増えて来るわけだから、その年によって振れ幅があると思うがな」
結局は才能に溢れた奴が今年は何人挑戦して来たかってところが争点になるわけか。オリヴィエみたいに敬遠する奴もいるとすると、少ないかもしれないな。まあ、オリヴィエはかなり特殊な場合だから参考にすべきではないのかもしれないが。




