ちゃんと解いた者は少ない
「ちゃんと問題を聞いて自分で考えて解こうとした奴はあの問題の正解者だけ……いや、フィリパもいる事を考えるともっと少ないって事になるのか……」
「まあ、それに関しては私の想像でしかないがな。だが、他にもいたかもしれないと考えると、いったいどれだけの人間があの問題を真面目に解いていたのか甚だ疑問ではあるな」
……一応、真面目に解いた結果間違えた選手もいただろうと考えると、真面目に解こうとした奴はそれなりの人数はいるハズだ。まあ、正解していないんじゃ意味無いが。
「あの問題で誰が正解したのかってちゃんと記録に残ってたりするのか?」
「さあな。公的な記録に残るのは突破した五百名だからあの問題の正解者を記録しているかどうかはわからないな。……が、映像記録そのものは残っているハズだから、一人一人の顔を調べれば全員分特定出来ると思うぞ」
「……その映像記録ってのは後で確認出来るようなものなのか?」
「確認出来るも何も、あの映像は世界中に流れているからな。やろうと思えば誰だって検証出来るぞ」
そうか……世界中に流れているんだからそりゃあ誰でも検証は可能か。
「やろうと思えば誰でも出来るわけか……仮にあの問題で間違えた選手が上の順位まで行ったら、相当擦られる事になりそうだな」
「自力で問題を考えない奴がエリートのお墨付きを貰えるというのは、世間から相当なバッシングを受ける事になりそうだな」
「それは想像に難くないな。……とは言え、来年にもなれば人々の関心は次の大会だ。そうなれば人々からの評価はどんな初歩的な問題を間違えたかではなく、何位という成績を残したかが重要視される事になる事は想像に難くない。形はどうあれ、火霊祭で五百位以内に入ったという実績がもたらす恩恵は大きいぞ」
人からとやかく言われるのは最初の一年間だけで、それ以降はどんどん人々から忘れ去られて残るのは火霊祭で五百位以内に入れたという実績か。辛いのは最初だけで、後々まで評価される実績が残るのであれば、やったもん勝ちで落ち着きそうだな。




