もしも出ていたとしたら
「……まあ、大会の傾向と対策なんてしていないだろうからな。確固たる信念で出場したいってわけじゃないなら周囲の人間は止めるだろうな」
もしオリヴィエに、どうしても出場したいという意思があるなら最大限その意思を尊重したのだろうが……そこまででもないなら今年は見送るのが無難だろうな。
「勉強不足と言う点を否めないのは事実だな。仮に私が今年の火霊祭に出場していたとして、この競技まで辿り着く事は出来なかっただろうな……」
確かにオリヴィエもさっきの審査で行われた二択問題もいくつか間違えていたようだからな。五百位以内にまで入れた可能性は低いと言わざるをえないか……?
「だが、フィリパはストレートであの審査をパスしたわけだろ? その答えに乗っかれば必然的にお前も突破してたんじゃないか?」
「まあ、理論上はそうなるな。だが、前に言ったと思うがあいつの学力じゃまずあの審査は通れん。つまりあいつも他の誰かの答えに完全に乗っかったという事になる」
「なら、お前もその『誰か』の答えに乗っかれば良いって話になるな。問題はその誰かが誰なのかだな。もっとも、フィリパが解答をそいつに丸投げしたんならそいつは知り合いって事になるよな? それならお前も知っている奴なんじゃないか?」
「そのハズなのだが……どうにもそれらしい者が見当たらない。いったい誰に合わせたのか……それとも、参加していた誰かに合わせたのではなく、外部からの指示に従って答えたのではないかと勘繰ってしまうくらいだ」
オリヴィエでも心当たりがないのか? まあ、フィリパの交友関係を完璧に把握しているわけないのだから当然か。……いや、そもそも友人という発想が間違ってるのか? あのクイズ大会は多くの参加者が翻弄された極悪難易度だ。それをノーミスで突破したという事は、学生レベルの知識量ははるかに上回っているだろう。
「偶然近くに優勝候補でもいたか? ……だが、優勝候補は他の選手達を引っ掛けたんだよな? そういう事をしなかった優勝候補か? それよりも外部からの指示の方が説得力があるってどういう状況だよ? 全問正解出来る奴と行動を一緒にする事より外部と連絡を取り合うのが楽なのか?」
流石に前者と後者なら前者の方が確率としてまだあり得るハズだ。……と、言うより、全問正解した選手が不特定多数いた以上、そいつの後ろをついていっただけであの審査を突破した選手だって一人か二人くらいはいてもおかしくは無いんだ。その一人がフィリパってだけだったのだろう。




